――話は変わりますが、岡村さんは社員のどこをみて評価しているのでしょうか。
どちらかというと「生意気な社員」を登用しがちなところがありますね。たとえば、会議をしていても素直な社員だけが集まると「じゃあ、そうしましょう」と話を合わせて、結局誰もその会議の流れを変えられません。そこに1人でも生意気な社員がいると、「何を言ってるんですか、そんなの全然効果ないですよ。こういう風にすればいいんですよ」と言ったりして、流れが変わることがあります。
ちょっと生意気で、空気を読まずに意見を言えるような人って、実は自分なりの理論があって、物事をちゃんと考えているんですよ。ちゃんと考えているから人とは違う意見が出せて、かつそれを言葉にできる。そういう、上司としてマネジメントしにくそうな人を登用する癖がありますね。やっぱりそういう人が上に上がらないと会社って変わらないので。
ただ、それが役員までいくとびっくりするぐらい誰も言うことを聞かないんですよ(笑)。それぞれが自分の意見を持っていて、俺はこうしたい、ああしたいって言うので、会議も全然まとまらなくてものすごく時間がかかります。もちろん、本質的なところは共通しているので、最終的にはちゃんと意見が一致するんですけどね。
――かなり個性的な社員が多そうですね(笑)。印象的な方はいますか。
3回辞めた社員がいます。それでまた戻ってきて4回目の入社です。アドウェイズでは、5回までは戻ってきていいというルールがあるんですよ。この社員は特別ですが、基本的には辞めた人は出戻りって嫌がるんですよ。いまさら戻れないみたいなことを言うんですけれど、マネジメント側からすると会社の勝手を知っているので戻ってきてくれた方がいいんです。
いま力を入れているモバイルアプリ向けの全自動マーケティングプラットフォーム「UNICORN(ユニコーン)」のメインエンジニアの2人も、実はSNSバブルの時に大手企業に転職したんですが、給料は上がったけれど、与えられた仕事ではパフォーマンスを発揮しきれず、うちに戻ってきました。それからは非常に頑張ってくれているので、そういう事例からも“去る者は追わず”じゃないですけれど、その人の考えをちゃんと尊重して、タイミングが合えばまた一緒に働こうというスタンスでいますね。
――今後はアドウェイズをどのような組織にしていきたいですか。
うちの社員には常に最先端のことをやってもらって、転職先がいくらでもある状態を作りたいと思っています。いま僕らが広告事業でやっていることの大半は、将来的にはシステム化できると思っています。その仕事の延長線上でスキルを身につけたとしても、機械がポンと出てきて、そっちの方がうまくできてしまったら、僕らがやれることがなくなってしまいますよね。
なので、アドウェイズではかなり早いうちから、人がやることと機械がやることを分けて、機械がやるべきことは全部機械化して、10年経とうが20年経とうが絶対に機械ではできないところを、うちの社員にやってもらいたいと思っています。そうすることで、きっと食いっぱぐれることがなくなると思うので、どんどんその体制にシフトしていきたいと思っています。
※第3回「日常編」は7月22日(日)に掲載
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