映画や刑事ドラマに登場するコンピュータシステムが持つ重要な機能の1つに、ぼやけた画像を拡大しつつ、欠落している情報を補完するというものがある。NVIDIAとマサチューセッツ工科大学(MIT)、ヘルシンキのアールト大学の共同研究により、現実がフィクションの世界に少し近づいた。
今回発表された論文「Noise2Noise: Learning Image Restoration without Clean Data」(Noise2Noise:ノイズのない元データを必要としない画像復元のための学習)によると、同論文内で著者らが「Noise2Noise」と呼んでいるシステムは、低照度環境下での写真や天体写真、MRI画像からノイズを除去したり、写真の上にかぶせられたテキストを、元の写真を必要とすることなく除去したりする目的で利用できる可能性があるという。
論文には「ノイズのない信号を参照することなく、元の信号を復元するという学習が可能であり、ノイズのない原本を用いた学習に近い、あるいは同じパフォーマンスを達成できる」と記されている。
また、「(この信号復元モデルは)ノイズのない原本を利用する最先端手法とまったく同じ訓練手法を用いて、同等の結果を導き出せる。しかも、訓練時間やパフォーマンスに、感知できるレベルの悪影響をもたらさない場合もしばしばある」とも記されている。
ただ「もちろん難点もある。入力データに存在していない特徴を捉えるような学習はできない。しかしそれは、ノイズのない原本を対象にした訓練でも同じことだ」とも記されている。
NVIDIAによると、このシステムの訓練には「NVIDIA Tesla P100」GPUとディープラーニング(深層学習)フレームワーク「TensorFlow」を使用。画像データベース「ImageNet」の5万件の画像で訓練したという。
この研究成果は今週、スウェーデンのストックホルムで開催中のカンファレンス「International Conference on Machine Learning」で発表される。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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