日本郵便とサムライインキュベート、オープンイノベーションプログラム第2弾 - (page 2)

藤代格 (編集部)2018年07月06日 12時01分

 日本郵便の代表取締役社長 兼執行役員社長 横山邦男氏は、“ワクワク”という表現から説明を始めたものの、幾度も「危機感」という言葉を口にした。業界ではeコマースの広まりなどで荷物量が大幅に急増する反面、人手不足が続くという“宅配クライシス”と表現される状態だという。

 「郵便分野から荷物分野へ経営資源を最適に配置し、安定的で確実なオペレーションの実現計画を立ててはいるが、環境の変化スピードは速い。年々速まる状況で、変化に気づいてから手を打っては手遅れになる。時代に先んじ革新的で最先端のアイディアや技術をスピーディーかつフレキシブルに、経営のあらゆる面で採用し続けなければ進化する顧客ニーズに対応できない」(横山氏)と、2年連続となったプログラムが目指す本質を語る。

日本郵便の横山氏
日本郵便の横山氏

 社長自ら全社で取り組む最重要案件と表現する通り、日本郵便内のメンター候補は前回の20人から27人に増加。文言通りの決意を込めた体制を構築したといっていいだろう。

 昨年の応募企業105社のうち採択企業となった4社は、現在でも実証実験を進めているという。最優秀賞を受賞したオプティマインドが提案した、人工知能(AI)を活用した最適な配達ルート構築システムは、現場の配達員が実際に使用し、改善を重ねる段階まで到達。「初年度から荷物の急増というきわめて重要な課題への活用が立ち上がったことは大変喜ばしい」(横山氏)と語る。

実証実験が進む配達ルート構築システムでは、届け先住所、日時指定などを考慮
実証実験が進む配達ルート構築システムでは、届け先住所、日時指定などを考慮
最適なルートをAIが提案する
最適なルートをAIが提案する

 前回を「なぜこういうアイディアが社内から出てこないのかと思った」(横山氏)と過去を振り返るも、日常の仕事に埋没し、前進するための創意工夫、革新が社内から出にくい状況にも理解を示した。外部の新しい考えの必要性を感じているという。

 プログラムを進めることで、社内にも変化が現れているようだ。「そういう考えもあるとうすうすわかっていた人は社内にもいたかもしれないが、やらなければいけない、前に進まなければいけないと強く思う人が出てきた」(横山氏)と、取り組みに触発される人間が社内に出現している現状を説明。プログラムの副次的な効果を感じているようだ。「一朝一夕では作れない、最大の強みで財産である2万4000の郵便局ネットワークをオープンイノベーションでさらに磨き、企業価値を向上させていきたい」(横山氏)と改めて狙いを語った。

キャプション
サムライインキュベートの榊原氏

 共同で実施するサムライインキュベートの代表取締役 榊原健太郎氏は、「日本郵便全体から強い危機感を感じる」と語る。“新しく何かを始める”ことにナーバスになりがちな通常の大手企業と異なり、大手外資系eコマース企業の陰もあってか、経営層と現場が同じ方向を向く、強い思いを感じているという。

 「プログラムの2年目を迎えることができてうれしい」(榊原氏)と語り、前回は450万円だった出資検討額を1社につき1000万円と増額。榊原氏は「求められるスピードが格段に向上しており、自社内でイノベーションを目指す旧来型の“クローズドイノベーション”では市場に適応できない。外部と連携し、社内外に限らず積極的に交流を図る“オープンイノベーション”が必要」と社外との積極的な交流の必要性を訴えた。

 POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM 2018では、10月に採択企業を決定する。2019年2月上旬には成果発表会を実施予定だ。

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