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LINEは金融を“Redesign”できるか--出澤社長が語る「決済革命」やブロックチェーン - (page 2)

山川晶之 (編集部)2018年07月03日 08時00分
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――SMB、特に個人商店などでは高齢の方も多いでしょうし、アプリをダウンロードしての運用に障壁があるように思うのですが、プロモーション含めどのように普及を目指すのでしょうか。

 基本的には、ローカルの店舗向けにセールスするパートナーなどと組むでしょうし、われわれ自身も採用を強化しており、店舗獲得に向けたチームを拡充しているところです。あとは、“鶏と卵”と似た話ですが、ポイント還元施策や、6月より開始した「10円ピンポン」など、さまざまなネタでこれからも施策を展開していきます。それによって送金が活性化し、LINE Pay自体がアクティブになると、店舗側に送客できるようになってきます。ビジネス上、導入せざるを得ない状況を作り上げることで、普及も早くなるでしょう。

 キャッシュレスには、決済手数料、高価なPOSレジ、初期の導入費用、専用機器の設置場所などいくつか課題がありますが、スマートフォン一つで改善されます。今回、店舗にとってやらない理由を限りなく撤廃しました。慣れやオペレーションの問題もあるとは思いますが、ハードルは今までと比べて圧倒的に低いと思います。

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――最近では、他社でもキャッシュレス決済の動きが活発になってきています。この状況をどのように見ていますか。

 店舗開拓を含めた4年間の準備もありますし、単純な送金だけでなく、カード決済、QRコード決済、ガスなどライフラインの請求書支払い、両替など機能には自信があります。ECを手がけているところはユーザーやプールされている売上などを足がかりに、一方デバイスメーカーはバンドルする形など、各社が自社のコアを強みに金融事業に参入しています。われわれはコミュニケーションからアプローチしていきます。

 一番大事なことは、ユーザーが日常的に受け入れてくれる利便性の高いサービスを作ることです。さまざまな企業が参入したことでコード決済も話題になってきました。業界が盛り上がるタイミングは、参入や市場が大きくなるタイミングでもあるので、ユーザーに価値の高いサービスを提供していけるかが鍵となるでしょう。

ブロックチェーンが“身近”になるトークンエコノミー構想

――今回、ブロックチェーン技術を使ったトークンエコノミーとして、独自トークンと独自のブロックチェーンを使い、サービスに貢献したユーザーに報酬を付与することで、サービスの成長とユーザーへの還元をリンクさせるという具体的な構想を描きました。

 トークンエコノミーのような概念は、最初はよくわからないものと感じるかもしれませんが、今のブロックチェーン技術や潮流、海外のスタートアップの動きを見るに、スマートフォンが出てきた時と同じぐらいの衝撃と捉えて良いでしょう。

 ブロックチェーンでは、銀行送金や規約管理といった大規模なトランザクションなど、これまで多額のコストをかけてやっていたことを安価かつ正確に実行できるという用途が多いのですが、ユーザーに近いサービスだと、世の中の課題解決や生活の中にインパクトがあるものは出ていません。

 LINEらしいアプローチで、大きな技術トレンドに対してしっかり取り組むという宣言が今回のコンセプト発表です。このタイミングで、独自のトークンを使い、独自のブロックチェーンで構成されたトークンエコノミーであることを明確に宣言することで、パートナーシップも進むでしょうし、もう少し先での発表となると、もうすでに一般化してしまっているかもしれません。

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LINEが打ち出したトークンエコノミー戦略

――そもそも、トークンエコノミーに取り組もうと思った背景を教えてください。

 われわれはCGM(Consumer Generated Media:ユーザー参加型コンテンツ)の会社であり、ライブドアブログから始まり、NAVERまとめ、LINE BLOGを持っています。ユーザーへの還元としては、ベネフィットのある広告の仕組みを持っていますし、まとめ作成者に報酬を支払う仕組みもあります。

 CGMの会社だからこそ、ユーザーにどのように還元するのか、どのような共創関係を構築するかの仕組みを考えています。ユーザーと一体になってサービスが成長できるような、会社の成長とユーザーの貢献がリンクするような仕組みがブロックチェーンで実現できないかというのが最初の発想です。あと、われわれはテクノロジの会社ですので、技術的な好奇心というのが一番のトリガーではあります。

 長期間に渡ってCGMを運営する中での課題感やギャップを感じており、それを解決するための一つの手段としてトークンエコノミーが有効ではないかと考えたのです。

日米“除く”仮想通貨取引所「BITBOX」

――また、イベント終盤で発表された仮想通貨取引所「BITBOX」には驚きました。なぜ、取引所に参入したのでしょうか。

 LINEでFinTech領域を担うLINE Financialが、日本での金融体験の変革を唱えていますが、国内に限らず金融体験の変革は必要だと思っています。仮想通貨に関しては国内外に限らず、グローバルな視点で将来的な価値を持っていますので、その一歩としてBITBOXを展開しました。すでにグローバルでさまざまな取引所がありますが、まだアーリーステージですので、取引所単体で運営できると判断しました。

――今回、LINE Tech Plusというシンガポールのグループ会社を経由して取引所を提供されていますが、この座組になった理由を教えてください。

 仮想通貨や取引所は、これから可能性があるビジネスですが、日本と米国ではさまざまな規制があります。ユーザーにとって新しい価値を提供するなかで、さまざまな検討を重ね、グローバルから先行して提供しようとした際に、パートナーシップや人材、レギュレーションの関係などからシンガポールが最も適していましたので、LINE Tech Plusという子会社を立ち上げました。セキュリティ周りでは、ウォレット管理会社として世界最大級の米BitGoと連携しています。

 なお、日米以外だとタイも規制が厳しい国の一つです。BITBOXでは、タイでもトレードできますが、タイ語には対応しないなど配慮する形を取っています。

――日本では提供しないとのことで、LINEとのサービス連携はなさそうに見えます。もし、日本で取引所を運営するとなると統合はせず、BITBOX単独で運営していくことになるのでしょうか。

 LINEとの連携は特に考えていません。また、日本で取引所を運営することになった場合でもBITBOX単独で運営する可能性はあります。

――国内での仮想通貨交換業の登録状況を教えてください。

 粛々と申請を続けている状況です。

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