地元の課題をデザインの力で解決--アドビが気仙沼でワークショップ開催 - (page 2)

デジタル時代に生き抜く力を

 アドビがDesign Jimotoを開催する狙いはなにか。アドビシステムズ デジタルメディア ビジネス本部 教育市場営業部 担当部長の楠藤氏に話を聞いた。


各チームには4~5人の生徒とデザイナーによって組まれており、全8チームで競いあった

iPadの「Capture CC」で、描いたイラストを取り込む。ほとんどの生徒がアドビシステムズを知らず、アプリやソフトを使うのも初めてだ

 PhotoshopやLightroom、Illustratorなど写真加工やグラフィック制作ソフトで知られるアドビシステムズは創業35年を迎え、IT企業としては老舗となった。その間には、IT環境も働き方も大きく変わってきた。600人ものトレーダーを雇っていたゴールドマンサックスも、今やAIと2人のトレーダーのみが働いている状況と言われる。アドビシステムズ自体も総務や経理をアウトソーシングしているとのこと。

 企業が求める働き手のあり方が変わっている状況下において、子供たちに情報化やグローバル化など急激な社会的変化の中でも未来の作り手となるために必要な資質・能力などを確実に備えられる学校教育を実現する、次期学習指導要領を目標としている。つまり未来の作り手として、価値を生む人を育てる必要があると考えている。

 価値を生み出す人は1万人にひとりの人材となり、企業から欲しがられる人材となる。そのためにデジタル時代に生き抜く力をつけてもらいたいと考えての活動ということだ。

 このワークショップイベントを開催前に、生徒たちにアドビシステムズのことを知っているか尋ねると、ほとんどの人が知らなかったという。企業や扱うソフトやアプリを知ることで、それらを将来的に使ってもらいたいという思惑も当然ありながらも、それらを使うことで、価値を生む人材になりうることを知ってもらうことが重要と捉えている。


教育市場営業部 担当部長の楠藤倫太郎氏。

専門職であったトレーダーも今やAIに取って代わられ、ほとんどが失職している

1990〜2000年生まれのZ世代において、日本人の生徒は自分たちのことを創造的だとは思っておらず、その世代を教える教師もZ世代が創造的だとは思っていない

創造的問題解決能力が育っていない原因のひとつに、ソフトウェアやツールが揃っていないことがトップに挙げられている。アドビシステムズはここを補填しようとしている

 地元の良さも再確認でき、始めてクリエイターとして、プロデザイナーと一緒に作品作りをしたことは生徒たちにとっては大きな財産となっただろう。今後もアドビシステムズとDesign Jimotoの活動に期待をしたいところだ。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]