Inagoraは同日、日中間における新たな商品流通システム「Wonder Japan Cross-Border Syndication(ワンダー ジャパン クロスボーダー シンジケーション)」を構築することも発表した。日本企業が越境ECを展開する上で必要となる、商品マスター、通関データベース、新商品情報などの情報基盤、商流・物流などのビジネス基盤、マーケティング基盤をプラットフォーム化し、越境ECを総合的にサポートする流通システムになるという。
翁氏は、日本企業と中国の小売をつなぐ中間流通が存在しないため、双方向の情報の流れが分断されていると説明。また、商流も多数のブローカーの介在によって不透明なため、価格が極端に変動したり、情報のギャップによる人気商品の偏りが起きていると指摘する。さらに、実売データや消費者購買行動がフィードバックされず、日本企業が的確なマーケティング活動を行うことが困難になっていると話す。
そこで、新たな商品流通システムを構築することで、これまで困難だった商品の情報管理、受発注の適切な管理、通関・物流のステップ、マーケティング情報のフィードバックなど、中国進出にともなうさまざまなハードルを解消できると話す。
具体的には、Inagoraが持つ約4万点の商品情報に、大手流通・卸と共同で新たな商品情報を追加・更新した「商品マスター」を、日本企業の許諾を得た上で中国の販売チャンネルに開放することで、正確な商品情報の流通を可能にする。また、各配送モデルで必要となる書類を明確化した「通関データベース」を構築し、一度登録した通関データを整備することで、中国の販売チャンネルが再利用できる環境を整えるという。
さらに、日本企業の新商品リリース情報や、モデルチェンジ、リニューアルなどの情報を、中国の販売チャンネルに発信するプラットフォームを整備するほか、Inagoraが日本の大手流通・卸とシステム連携している流通BMS、同社が中国の販売チャンネルとシステム連携しているAPIによって、日本企業と中国の販売チャンネルをシステム連携させる。このほか、物流サポートや販売情報のフィードバックによるマーケティング活動支援などをするという。
同社では今後、このシステムに賛同した大手流通・卸と事業化検討のワークグループを組織し、共同で事業化を検討するという。現時点では、あらた、伊藤忠食品、大木、加藤産業、国分首都圏、全農パールライス、中央物産、ときわ商会、日本アクセス、日本酒類販売、ピップ、三菱食品が賛同しているという。
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