logo

小学校の“先生”がプログラミングを体験--必修化に向けて横浜市

藤井涼 (編集部)2017年08月22日 07時00分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 2020年に小学校でプログラミング教育が必修化になることを受けて、各自治体の教育委員会などがプログラミング教育の考え方や実施例を、小学校の先生たちに伝える取り組みを進めている。8月21日には、横浜市小学校情報・視聴覚教育研究会が富士ソフトの協力のもと、横浜市の教職員向けにプログラミング教育実技研修会を開催。100人を超える小学校の先生がプログラミングを体験した。


横浜市の教職員向けに開かれたプログラミング教育実技研修会

 富士ソフトでは、学校にあるテレビやプロジェクタなどと専用端末であるメディアボックスをつなぐことで、動画や画像などのデジタル教材を表示し、リモコンで操作できる総合教育ICTソリューション「みらいスクールステーション」を小中学校など700校以上に導入。また、1990年からロボット相撲大会を開催しており、教育現場などでもミニロボットの活用を目指している。

 今回の研修では、同社が2018年度中に教育機関向けに提供する予定のミニロボット「SuBot」(仮称)を、小学校の先生がプログラミングアプリによって動かした。タブレット上のアプリに表示された「前へ進む」「繰り返す」「右に○度、回る」といったパーツを、パズルのピースを組み合わせるように指で直感的に移動させてプログラムを作成。これをWi-Fiで転送するだけで、ミニロボットを動かすことができる。そのため、プログラミングの知識などは必要ない。


ミニロボット「SuBot」(仮称)を、プログラミングアプリで動かす

パズルのピースを組み合わせるようにプログラミングできる

 ミニロボットは前進後進や旋回のほか、ランプ(LED)を8色に光らせたり、ブザーを鳴らしたりすることができる。また、手のひらサイズの小さなボティに、目の前の障害物を認識する対物センサや、床の色を識別する白黒センサを搭載しており、これらを活用したライントレースや障害物回避などが可能だ。今後提供予定の教材では小学生がロボットをどう動かし、どう音を出させるかを論理的に考える力を育むことを目指しているという。

 同日には、横浜市の金沢区、神奈川区、南区、保土ヶ谷区、港北区の小学校教職員、約140名が2回に分けて研修会に参加。1チーム5~6人にわかれて、ミニロボットを実際に操作したほか、プログラミングを通じて算数を学ぶ課題に挑戦した。


班ごとに分かれて課題に挑戦した

用紙の赤線(3分の2)まで進めた後に、その4分の3にあたる位置にミニロボットを止めるという課題

 出題された課題は、白黒センサによって用紙の上に引かれた線の色を認識して、用紙の3分の2にあたる距離を計測。さらに前進後進をしながら、その4分の3にあたる位置にミニロボットを止めるというものだ。

 しかし、プログラミングアプリの操作に慣れていない先生が多かったことや、難易度が参加者にとって少々高かったこともあり、課題をクリアできたチームは少なかった。参加者によって理解度に差があるため、現状は運営側も出題レベルの設定は手探りの状態のようだ。


課題の解説

 同日の研修会に参加した、小学校1年生を担当する先生に話を聞いた。この先生が所属する小学校では、11台のタブレット端末を導入しており、先生が必要に応じて利用申請をしてその都度端末を借りているという。たとえば、体育の時間に子どもたちの縄跳びの様子を動画で撮影して、見直すことで改善に生かすといった用途で活用しているそうだ。

 今回のプログラミング体験では、苦戦しながらもチームで課題をクリアできたという。「(ミニロボットが)前に10cm進んで右に曲がるといった、簡単なレベルのプログラミングなら子どもたちでもできそう。(パズルを組み合わせるように)順序だててプログラミングすれば動くという仕組みには可能性を感じた」と感想を語った。

 同日には、東京学芸大教育実践研究支援センター 准教授の加藤直樹氏が講師として登壇。プログラミングにはさまざまなアウトプットの形があるが、たとえば小学校低学年の子どもに対しては、画面上で結果を見せるよりも、ロボットなどの実物を動かした方が理解が早まると説明する。またセンサを活用して、呼吸をするたびに袋の中の酸素が少しずつ減ることを確認するといった、理科の授業でのプログラミング活用例なども紹介していた。


2の倍数と3の倍数の線の上を走ると音が鳴るようにする算数の活用例

リアルタイムに酸素が減る様子を確認できる理科の活用例

-PR-企画特集