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「不動産×IT」が生む新経済パラダイム--大量生産型から“生活者参加型”に - (page 3)

月森 正憲(寺田倉庫)2017年02月28日 08時00分
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Airbnbに次ぐシェアリング・エコノミーの旗手たちのワクワク

 今回は、空き部屋というスペースに注目してきましたが、ほかにはガレージや空き駐車場のような極小スペースを貸し借りする「軒先.com」や、寺や古民家などユニークなスペースを貸し借りする「スペースマーケット」が存在します。経営合宿を古民家でやるなんてスマートで良いですよね。公私ともに素敵な使い方ができそうです。

 一方、コワーキングスペースのシェアリングサービスだと、ニューヨーク発のスタートアップ「Spacious」が要注目です。ここはレストランを日中コワーキングスペースに替えるサービスを展開しています。日本よりもフリーランスやスタートアップの多い米国だからこそのサービスですが、ワークスタイル変革が起こっている日本でも十分に可能性のあるサービスに思えますし、何より個人的には使ってみたいですね。賑やかなカフェよりも、すごく雰囲気の良いレストランで仕事した方が捗りそうです。

 このように、スペースがIT化され、誰もが簡単に貸し借りをできるようになると、今までは考えもつかなったことが実現され、都市生活が大きく変わります。逆に言えば、私たちは今まで束縛されていたのです。その束縛がITによって解き放たれたことで、私たちは社会に参加する、使いこなすという新しい楽しみを得ることができました。

倉庫会社の目線

 ちなみに、私たちMINIKURAもこのシェアリング・エコノミーには非常に可能性を感じます。実際のところ、倉庫に預けたモノを売買できるサービス(minikuraTRADE)を2016年9月に始めましたが、今後預けたモノを貸し借りできるような世界観も構想しています。

 それと同時に、テクノロジの活用方法として、宿泊施設や会議室のような既存のニーズに向けたものではなく、新しいライフスタイル(体験価値)を生み出すものにも私たちは注目しています。例えば、一昨年に始まった、泊まれる本屋がコンセプトの「BOOK AND BED」です。

 このサービスというかホステル、皆さんご存じでしょうか。ただの空間にセンス良く選んだ本を集めるだけの“本の多いホステル”ではなく、“泊まることができる、読書中の寝落ちの気持ちよさを体験できる本屋”とコンセプトを設定したことで、そのスペースに期待できる体験価値が大きく変わりました。同じ空間だとしても後者のコンセプトの方が断然魅力的です。箱(ハード)ありきではない、非常にユニークな考え方(ソフト)です。

 しかしながら、新しいライフスタイルや体験価値を生み出すことは難易度の高いものです。BOOK AND BEDのように話題化するのはまれ、という認識の方が現実的でしょう。ただし、ITを活用することで、確度を上げることができると私たちは考えます。

 具体的には、SNSにおいてクラスタ別の興味を分析することで、出店の勝率を上げるようなことができるかもしれません。例えば、車好きは飲み明かせるガレージのような宿泊施設を求めているかもしれませんし、あるいは、スタートアップは合宿もパーティーもできる会議室を求めているかもしれません。ITだからこそ可能な、一斉に多くの方からレスポンスを得ることで、出店という大きなリスクを減らし、むしろ最適な顧客とのマッチングを図るようなことが実現するでしょう。

 本稿前半で紹介したシェアリング・エコノミーのみならず、後半で言及した超短期間の関心の分析およびマッチングなどのテクノロジ活用も、スペースをIT化する新しい不動産ビジネスに欠かせないものです。



月森正憲

寺田倉庫株式会社 執行役員/MINIKURA担当

1975年生まれ。98年寺田倉庫に入社。約5年間、物流現場で重貨物の積み下ろしやフォークリフト操作など現場系作業に従事する。その後、営業職を経て企画担当へ。2012年に、顧客自身が預けた荷物をWeb上で管理できるクラウド収納サービス「minikura(ミニクラ)」をリリース。2015年からは、minikuraのシステムを活用しサービス展開するスタートアップ企業4社の社外取締役も務める

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