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触って感じる「InduSTORY~私たちの時代のモノづくり展~」--大阪で開催

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 産業製品とその開発過程に生まれるストーリーをテーマにした企画展「InduSTORY~私たちの時代のモノづくり展~」が、大阪のナレッジキャピタル The Lab.で開催中だ。国際的メディアアート機関である「アルスエレクトロニカ」と、オープンから続くコラボレーション企画として7回目となる今回は、暮らしや社会を変える新しいものづくりに取り組む、2組のクリエイターによる計7作品が5月7日まで展示される。

 開催初日の2月9日、オープニングイベントに参加したアルスエレクトロニカのマーティン・ホンツィック氏は、「経済とクリエイティビティの新しい関係性を発見させてくれるアーティストを選出し、産業とアートの共存について両方向から考えるのに最適な作品が集まった」と紹介する。

  • アルスエレクトロニカのマーティン・ホンツィック氏は、ナレッジキャピタルとのコラボについて「これまでにない新鮮な取り組みを実現する素晴らしい機会になっている」と言う。

 2階には、デザインと工学を融合させたプロトタイプで未来の人工物のありかたを探求する「東京大学・山中俊治研究室 Prototyping&Design Laboratory」の4作品が展示される。ロボティクス技術や3Dプリンターで造られた無機質な物体に、有機生物的な要素を先端技術で組み合わせ、独特の動きや触感を感じてもらうことを狙いとしている。

 特任助教の村松充氏は「産業革命の時代からの概念であるインダストリアルデザインについて、機能だけでなく対峙した時の感じ方や関わり方も含めて考えたプロトタイピングに取り組んでいる」と説明する。たとえば、「Apostroph」という作品は、外から加えられた力に反発する動きだけをプログラミングされたモーターだけで動くという、複雑なロボティクス技術とは真逆の発想が取り入れられている。形状も数年かけて改善し続けるというアート作品のような過程を経ており、プロダクトとの境界をあいまいにしている。

  • 日本を代表するデザインとエンジニアリングの研究が行われている東京大学・山中俊治研究室から4作品が展示される。

  • モーターだけで動くロボットアーム「Apostroph」について説明する村松充特任助教。

 3階には、脳波で動くネコミミ型コミュニケーションツール「necomimi」の開発で知られるプロジェクトチーム「neurowear」の3作品が展示されている。IoT時代を背景に、ヒトとモノのコミュニケーションをテーマにしており、モノの考えを目の動きだけで可視化する「mononome」や、生体信号と音声ガイダンスで“心の鎮静度”を計測して瞑想をサポートする「Onigilin」など、テクノロジをユーモラスにデザインした作品が並ぶ。また、AmazonのAlexaのような音声認識機能を搭載した「COTOREES」は、人の声ではなく、唯一人間の言葉を話せる鳥をベースに、機能もwiki検索だけというようにあえて絞り込むことで、適度な関係性を持続できるようにしているという。

  • 「neurowear」の作品をデモするクリエーティブ・テクノロジストのなかのかな氏とプロデューサーの加賀谷友典氏。

  • 「実際にさわって体験できる、会場のコンセプトにあわせた展示になった」と言うアルスエレクトロニカ・フューチャーラボ所属の高橋祥子氏。

 いずれの作品も完成度が高く、すでに実証実験している作品もあるが、プロデューサーの加賀谷友典氏とクリエーティブ・テクノロジストのなかのかな氏によると、現時点での商品化は未定だという。プロトタイプの段階でいろいろな人たちに触れてもらい、様々な専門家ともコラボレーションしながら、それらのフィードバックを元に開発するという過程が、今回のテーマであるインダストリーとストーリーを組み合わせた造語“InduSTORY”を表現していると、キュレーションを担当したアルスエレクトロニカ・フューチャーラボ所属の高橋祥子氏は説明する。

 「産業に必要なヒト・モノ・カネが、オープンイノベーション・デジタルファブリケーション・クラウドファンディングに置き換わり、ものづくりにも大きな変化が生まれている。そこから生まれる新しいものづくりのストーリーとはどんなのものかを作品を通じて感じてほしい」と言う高橋氏は、「ほとんどの作品が実際にさわったり、体験でき、設計のアイデアやスケッチをあわせて展示しているので、いろいろな角度から気づきが得られるはず」としている。

 展示会は5月7日まで無料で公開され、10時~21時まで自由に入場できる。

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