DeNA、キュレーション事業の再開は未定--守安社長「ポートフォリオを再考する必要がある」

 ディー・エヌ・エー(DeNA)は2月8日、2016年度第3四半期決算を公表した。売上収益は前年同期比で5%減、前四半期比で16%減の322億円。DeNAベイスターズなどのスポーツ事業を除いた売上収益では、前年同期比で5%減、前四半期で1%減の316億円となった。営業利益は、前年同期比4%増、前四半期比で56%減の34億円。こちらもスポーツ事業を除いた営業利益では、前年同期比で3%減、前四半期で11%減の50億円となった。


決算会見冒頭、DeNA代表取締役社長の守安功氏は、「昨年末のキュレーション事業の一連の問題について、世間の皆さまそして株主様に多大なるご心配とご迷惑をおかけしたことを改めてお詫び申し上げます」と謝罪した

 営業利益では、2016年10月にKDDIにショッピングモール事業を譲渡したことで60億円の譲渡益が発生した一方で、「その他の費用」として、米国のゲーム子会社の解散による諸費用(22億円)と、WELQをはじめとしたキュレーション事業ののれんなどに関する減損処理(39億円)を実施している。キュレーション事業は、WELQを発端とした一連の問題について、第三者委員会の調査結果待ちであるものの、保守的な観点から全額減損処理扱いとしている。

 減損扱いの理由について、同社代表取締役社長の守安功氏は、「キュレーション事業再開のめどが明確に立っていない状態。監査法人と協議のうえ、減損にした」と述べた。同事業での売り上げは見込んでおらず、第4四半期でのキュレーション事業の赤字規模については、現在すべての記事が非公開となっていることも含め、13億円弱のマイナス(おおむね固定費)になると同社では見ている。

キュレーション事業は全額減損処理となった
キュレーション事業は全額減損処理となった

 DeNAでは、委員会とは別に社内でも問題の究明と改善策を模索している。守安氏は「社内的にもどこが問題であり反省すべきか、どういったサービスであればユーザーに受け入れてもらえるのか、運営としてどのような形であれば、適切かつ体制としても問題なく、アウトプットにも責任が持てるのか、それを踏まえてビジネスモデルとして成り立つのか、総合的に検討している」という。

 そのため守安氏は、キュレーション事業の今後について「全くの未定」であることを複数回に渡って強調。ネットの一部でMERYが3月に復活するとの噂があるものの、その可能性を否定する形となった。

 また、DeNAが設置した相談窓口には相当数の相談が来ているものの、健康被害や著作権者からの相談は非常に少ないという。健康被害に関しては「数件程度」としたものの、個別にやり取りを行った上、直接訪問もしているとしており「しっかり対応していきたい」(守安氏)と述べた。

  • 四半期業績サマリ

  • 四半期業績(IFRS)

  • 四半期費用構成

ゲーム事業は、任天堂との協業タイトルや「逆転オセロニア」が好調

 主力のゲーム事業では、国内コイン消費については339億円と、前年同期比で45億円減、前四半期比で4億円減となった。また、国内ゲーム事業の営業損益は78億円と、前年同期比で9億円減、前四半期比で2億円減だった。ただし、配信開始から1年が経過した「逆転オセロニア」をはじめ、任天堂と協業したスマートフォン向けゲーム「スーパーマリオラン」と「ファイヤーエムブレム ヒーローズ」など、複数の内製・協業アプリが好調に推移しており、第4四半期は増益に向かうと同社では推測している。

 任天堂との協業タイトルについて守安氏は、「IPの強さ、引きの強さをグローバルレベルで非常に強く感じた」としたうえで、「クオリティの高い、面白いゲームになっている。任天堂のゲームがスマホ上でも遊ばれてるのは、ゲームの遊び自体が気に入られているからだと思う」と好調であることをアピール。任天堂との関係についても「2つのアプリのリリースと運営を通して非常に順調にいっていると思っている。現場も含めて信頼して頂いている」とした。

 また、2016年12月にZMPとの提携解消を発表し、新たに日産自動車と提携したオートモーティブ事業については、「長い目でやっている。我々としては自動運転車自体を作るのではなく、自動運転活用した旅客サービスや物流サービスのレイヤーに取り組む、モビリティサービスプロダイダーとして注力している(同氏)」とし、2017年には日本のいくつかの地域で実証実験を開始し、2020年には無人運転の交通プラットフォームを構築する予定だとしている。

  • 「逆転オセロニア」が好調

  • コイン消費額と国内ゲーム事業営業損益

  • EC事業はKDDIに譲渡。今後は連結から外れることになる

守安氏「事業ポートフォリオを再考する必要がある」

 来期以降の事業戦略について守安氏は、「キュレーション事業の再開の可否がまだ決まっていない。そのうえで、キュレーション事業で期待していたものが実現できなかった場合にどのようにカバーするのか、カバーするならどういった方針なのかを考えていく必要がある」としており、「事業ポートフォリオを再考する必要があり、来季の方針を明確に話すことは難しいが、我々はインターネット企業であり、ゲーム事業に加えて新たな柱を作っていきたい」としている。

 また、会社の体制については、「変えていこうとしている最中と受け取ってほしい。何が問題で何を変えていくか議論している段階。さまざまな事業を展開しているが、そこの管理体制やコンプライアンスのあり方について十分か、企業風土や行動規範など会社として大事にしていく部分など、現状の在り方を見直す必要がある。経営体制、組織体制、中長期的戦略も含め、セットで考えていく」と述べた。

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