スマホアプリ「POCKET PARCO」による“個客”マーケティング事例--「CMO Award」講演 - (page 2)

さまざまマーケティング施策を計測

 パルコの林氏は、POCKET PARCOの世界観を解説した後、POCKET PARCOで実行した各種マーケティング施策の具体例をいくつか紹介してくれた。

(1)クリップ数と来店数、購入数に相関性が見られることから、クリップ操作に対して付与するポイントを10倍に増やすキャンペーンを実施。その結果、クリップ数が急増し、連動するように売上も増加した。

クリップ数の増加に応じて売上も上昇
クリップ数の増加に応じて売上も上昇

(2)POCKET PARCOを閲覧した際の位置情報を活用。PARCO店舗から5km圏内の閲覧者だけを対象に、チェックイン操作に対して付与するポイントを増やすキャンペーンを通知したところ、チェックイン数、つまり来店者が増えた。

データ活用事例(エリアターゲティングプロモーション)
データ活用事例(エリアターゲティングプロモーション)

(3)POCKET PARCOで配信するブログ記事フィードのレコメンデーション精度を、人工知能(AI)を導入して向上した。ユーザーの関心が高いほど情報がクリップされやすくなり、来店や購入につながると考えている。

(4)購入翌日に通知するポイント付与メッセージに、ショッピング評価機能を付けた。来店後に接客内容を評価してもらい、ショップにフィードバックして接客レベル向上を促す考えだ。データを分析したところ、評価が高いほどリピート購入率が高く、顧客満足度と再購入の相関関係が可視化された。

データ活用事例(ショップ別接客サービス評価)
データ活用事例(ショップ別接客サービス評価)
接客評価とリピート購入の関係
接客評価とリピート購入の関係

(5)1万円以上の購入者に優待券を進呈するキャンペーンを実施した際、1万円未満の購入後もPARCO店舗にいるユーザーへ同キャンペーンをプッシュ通知した。その結果、通知を受け取ったユーザーの約半数が追加購入をし、通知から再購入までの平均時間は1時間強だった。つまり、買い物直後のタイミングでのプッシュ通知は非常に効果的だという。

フリーWi-FiやIoTもマーケティング活用へ

 さらに、林氏は館内フリー無線LAN(Wi-Fi)サービス「atPARCO Wi-Fi」や気象データなど、モノのインターネット(IoT)デバイスから得られる情報をマーケティングに活用することも検討中とした。

 例えば、来店者の接続するatPARCO Wi-Fiアクセスポイントを追いかけて得た館内での大まかな移動ルートに購買情報などを重ね合わせると、行動パターンをいくつかのタイプに分けられる可能性がある。PARCOの屋上に設置した気温、照度、降雨センサからの情報も、パターン分類に活用できるだろう。そして、各パターンに応じたプッシュ通知などを実行し、施策の精度向上につなげたい考えだ。

 最後に林氏は、過去が変えられないのは当たり前で、これをマイナスにとらえてはならない、と述べた。過去のデータが変わらないからこそ、次につなげる分析が可能だという。データを読み解くことで、よりよい未来を作り出し、顧客の体験を改善したい、とまとめた。

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