僕たちは2000年に創業して、ICQというチャットツールを使って仕事をしていました。その後はMSN Messenger、Skype Chatなどもっています。取引先とのやりとりにはメールも活用しましたが、他はすべてチャットだったんですね。だから、チャットが仕事に有効なツールであるというのは、もう10年以上前から当時からの全社員が理解している状態です。「チャットでやりとりできないなら取引しません」と宣言することがあるくらいとんがった会社でしたね(笑)。
今や競合ツールはたくさん出てきています。どれもだいたい他に追随して機能を追加してきますから、チャットワークと他のチャットツールを比較する際に機能だけを並べても差が見えにくい。ただ、我々は10年以上の仕事でのチャット使用経験があり、チャットツールを思いつきではなく仕事上の必要性から作っているので、たとえば既読機能は絶対につけません。既読機能は、上司にとっても部下にとっても不幸になる機能だと思っているからです。お互いに首を絞めてしまうので、“あえて”つけていないんです。
また、ユーザーのオンライン・オフライン状態も見せません。なぜなら、チャットはリアルタイムにやりとりできることがメリットですが、社外の人のように相手が見えていない状況だと、オンラインになった瞬間に一気に話しかける、という使い方になる可能性が高い。そうなると、相手、ひいては自分も、PCの電源を入れることをためらってしまうようになるでしょう。
チャットのリアルタイム性と、メールの非同期性の気持ちよさ、このちょうど中間くらいを我々は狙っています。使ってみないとこの心地よさが分からない。長年仕事でチャットを使い続けてきたからこそ、我々はそこを狙うわけです。チャットワークから使い始めた人が他のチャットツールに乗り換えたら、きっとすごくつらいと思いますよ。
使っているユーザーが多いチャットワークだからこそ、新たな取引先との連絡用ツールとして共有しやすいですし、母数があるからこそChatWorkコンシェルジュみたいなサービスも成り立ちます。僕らが志向している「チャットワークプラットフォーム構想」においても、このユーザーベースを元に可能となる展開がたくさんあると思っています。
チャットワークはあくまでビジネスコミュニケーションのインフラですので、そのインフラの上に何を載せるか、ということが価値になります。ChatWorkコンシェルジュもその1つです。これからはチャットを起点に仕事が進むと思っていて、チャットが仕事におけるOSのような中心的存在になっていくのではないかと考えています。
「Dropbox」や「Evernote」もチャット機能を追加してきていますよね。でも別のメイン機能からチャットへ広げても、なかなかうまくいかないんです。DropboxやEvernoteはファイル管理やメモ管理のツールとして考えられていますから。しかし、チャットからファイル管理とか、チャットからメモ管理とか、チャットからビデオ会議などは、流れとして非常にスムーズで自然なんです。チャットを起点として、その周囲に仕事が広がっていくようなプラットフォームを構築していきたいですね。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する