スマートフォンネイティブが見ている世界

「メルカリ」のゲームアカウント売買解禁が10代に与える影響 - (page 2)

 メルカリだけでなく、10代に人気のフリマアプリ「フリル」でも、「LINE MALL」でも、年齢制限は設けられていないものが多いようだ。そもそも、ヤフオク!はPCから始まったサービスであり、ユーザーの年齢層は高めだ。一方のフリマアプリはスマホからの利用が前提となっており、若者をターゲットとしていることは間違いない。

 つまり、若者に人気の高いメルカリでゲームアカウント販売が解禁されたことは、10代の行動に大きな影響を与える可能性があるのだ。ある高校生ユーザーは、「最近ゲームアカウントの出品が多いと思った」と答えている。禁じられている間は「いけないもの」という認識があるが、解禁されたことで「許可された」と感じ、自分もしてみたいと思うユーザーが増える。

 前述の高校生ユーザーは、「ゲームアカウントが売れるなんて思わなかった。いいアルバイトになるかもと思った」と答えている。10代ユーザーは時間はあり余っているが、お金を持っていない。「ゲームを遊んでお金が手に入るならおいしい」と考えているそうだ。デジタルアーツの「未成年の携帯電話・スマートフォン利用実態調査」(2016年2月)によると、男子高校生の79.6%、女子高生の68.9%がインターネットでお小遣い稼ぎをしたことがあるというが、それがRMTになる可能性は十分にあるわけだ。

社会のルールを守ることを教えよう

 執筆現在、RMTに関する法律は見当たらない。しかし、すでに述べた通り、多くの運営会社は規約でこれを禁止している。Yahoo!ゲーム版「ドラゴンクエスト」は、3月末に「RMT(リアルマネートレーディング)に起因する問題に対処し、万全な状態でのサービス提供が困難になった」ことからサービスを終了している。RMTにより、ゲーム運営が破綻につながる可能性があるのだ。

 10代は社会のルールを学ぶべきときだ。RMTについては意見が分かれるところがあるようだが、少なくとも規約で禁止されていることはしないのが社会のルールだ。オークションサイトやフリマアプリでは容認されていても、肝心のゲーム側では禁止されているなら、するべきではないだろう。保護者は子どもが安易にそのような行動に出ないよう、見守る必要があるだろう。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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