LINEは「エンジニア」が主役の会社--朴イビンCTOインタビュー - (page 2)

 大きく3つあります。1つ目は、「ラージスケールテクノロジ」です。オープン化なども進めていく上で重要なのは、ラージスケールのシステムを安定的に維持することだと思っています。2つ目が、AR/MR技術です。さまざまなコミュニティやSNS、ビデオサービスなどに楽しさを加えるためにAR(拡張現実)技術を積極的に準備しています。またゲームでもMR(Mixed Reality:複合現実)を組み合わせた、さまざまなアイテムをいま研究しているところです。

 3つ目が「マシンラーニング」(機械学習)です。我々が保有するデータを分析して加工し、サービスをより高度化するためにはマシンラーニングやリアルタイムにデータをプロセッシングする技術が必要になります。たとえばミュージックで聴きたい音楽を自動でレコメンドしてくれるといったことを、さまざまなサービスで提供できるように技術を成長させているところです。

9月29日に開催された「LINE DEVELOPER DAY 2016」で、3つの注目領域について語るイビン氏
9月29日に開催された「LINE DEVELOPER DAY 2016」で、3つの注目領域について語るイビン氏

「技術」からサービスを考える

――LINEという会社にとって「技術」とはどのような存在なのでしょうか。

 私としては、LINEは技術を一番大切にする会社だと思っています。最先端の技術を使って新しいサービスや機能の開発に挑戦することが大切だと考えられていますし、技術者の成長を支援する体制も作っています。

 5年間で会社が急成長する中で解決すべき技術課題もたくさんありましたが、それを解決するためにビジネスサイドやサービスサイドとも協力して取り組みました。また、我々の持つ技術の中には、すでにオープンソース化しているものもたくさんあります。

――一般的なサービスの開発は、企画ありきでそこに技術を実装するというイメージがあります。LINEでは逆に、先端技術を活用することを目的にサービスを考えるというアプローチもあるということでしょうか。

 当然企画からスタートするサービスもありますが、逆に技術からサービスを考えるアプローチも多いです。LINEでは技術を本当に重視していて、エンジニアが主体的にプロジェクトを立ち上げたり、ある機能を実装したいがためにプロジェクトを立ち上げたりすることもあります。エンジニアが自ら企画したプロジェクトもありますね。

――他社と比較して、LINEならではの技術における強みを教えて下さい。また、現在求めるエンジニアはどのような人材でしょうか。やはりグローバルでサービスを展開するため英語が求められるのでしょうか。

 このようなラージスケールのデータベースを保有する企業はあまりありませんよね。欧米の企業と比べると、彼らはすでにインフラが整っていてその上でアプリを開発しています。一方で、LINEは急成長したことからやることが山積みで、エンジニアはさまざまなマイクロサービスに参加して、大規模なデーベースをハンドリングすることで、自身のスキルを上げられると思います。そこが一番の強みではないでしょうか。

 求める人材についてですが、サービス開始当初からLINEにいるエンジニアはこの5年間で高いスキルを身につけましたが、世の中にそれだけの経験を持つエンジニアはなかなかいません。ですので、我々は経験よりもエンジニアとしての基本を大切にしています。自分が担当している部分がそれほど広くなかったとしても明確な基本知識をもとに開発していたか、開発の基礎知識を持っているかということが大事です。スキルは入社した後に身につければいいのです。

LINEに入社すると配られるエンジニアの心得が記されたハンドブック
LINEに入社すると配られるエンジニアの心得が記されたハンドブック

 また、LINEのエンジニアに英語は必須ではありません。英語を求めすぎると、英語はできるけれど技術レベルがそこまで高くない人を採用してしまい、バランスが崩れる可能性があるからです。我々は明確に技術が一番大事という考えを持っています。(英語が話せないことで)コミュニケーションが難しいこともありますが、技術者ですので「コードで話す」ことを基本の文化にしています。もちろん、必要な英語の翻訳支援や教育などもサポートしています。

――最後に、イビンさんが現在使っているスマートフォンや注目しているアプリを教えて下さい。

 スマートフォンは、iPhone 6s Plusを使っていて、iPhone 7は注文して(入荷を)待っているところです。アプリは、最近はカメラアプリを気をつけて見ています。AR技術や顔認識の3Dアニメーションが流行っているので、自分でもいろいろなアプリを体験するようにしています。

 また、MRというドメインでアイデアを早いタイミングでゲームに採用した「Pokemon GO」は本当にすばらしいと思います。ただ、参入が遅くなっても手遅れではないと思います。もっと別の要素を入れるとか、いかに展開するかということで全く変わってきますので、我々もMR技術を使ってヒットサービスを生み出したいと思います。

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