筆者の周辺にもやはり、Galaxy Note7を新規や機種変更で購入した人が複数いる。2年間、同社の「Galaxy Note3」を使用した後、Galaxy Note7に機種変更をした釜山市に住むイさん(40代・男性)。彼自身も、無償交換サービスが開始された9月19日に早速、サムスンのサービスセンターを訪れた。ニュースの報道やサムスンからのアナウンスを聞きつけて、初日から多くの人がサービスセンターへと足を運んでいた。
結局この日、イさんはGalaxy Note7の代替品の受け取りの予約だけをしてサービスセンターを後にした。現在までのところ、イさんのGalaxy Note7に使用中の不具合や異変はないと言うものの、今回の騒動でサムスンに対して不信感を抱いているという。
イさんが機種変更をした理由は、「大画面で画質や音質が良いこと、機能性が充実しているという触れ込みや勧めもあり、決めた。しかし、手に入れて早々、このような問題が起きたことはすごく残念であり、価値も落ちてしまったと思う」と述べた。
同じく、Galaxy Note7を発売と同時に購入したユさん(30代・女性)も、「バッテリの欠陥をニュースで聞いてから、おちおち充電もできない。心配で、寝る時も充電器から外してさらに電源をオフにしている。子どもがスマホで動画を見たがるが、米国で子どもが負傷した話を聞いているので怖い。サムスンはもう少し、問題について詳しい説明や対応をすべきだ」と、厳しいコメントを述べていた。
実際にインターネットでは、バッテリの充電時間が大幅に短縮された点は評価されていたものの、従来共通して使用できていたタイプの充電器は使用できず、新しいタイプのものとなったことに不便さを訴えたり、充電後に度々電源が落ちてしまうなどバッテリに対する不満の声も、米国での問題が発覚する前よりあった。
また、前述の聯合ニュースでは、無償交換をしたユーザーのバッテリが充電中に放電状態になる不具合を報道していることから、新たなバッテリにも不安の火種があること、インドでも新たに航空機内でGalaxy Note7による発煙騒ぎがあり、まだまだ余波は収まりそうにない。
サムスンの会長であるイ・ゴンヒ氏は、2014年に倒れてから病床にあり、事実上、経営は長男でサムスン電子副会長のイ・ジェヨン氏にゆだねられている。
ジェヨン氏による経営体制の確立はまだ途上で、未知数の部分も多い上、ここ最近はiPhoneとの過当競争などによる疲労感と、世界市場でのサムスンブランドの勢いに翳りが見え始めていたこともあった。よって、サムスンはGalaxy Note7に社運を賭けていたといっても過言ではない。
全世界でリコールの対象となるのは約250万台と見られ、損失額は日本円で1000億円にのぼるとも言われている。この事態はサムスンの信頼とブランドを失墜させるだけでなく、韓国経済をも揺るがしかねないという見方もされている。
先日、韓国では財閥系企業の1つである「韓進(ハンジン)グループ」の韓進海運が破綻に追い込まれた。これもまた、世界各地で貨物船の運航などに多大な影響と混乱を引き起こしている。韓国経済の屋台骨を支える2つの代表的企業の不祥事により、低迷している韓国経済をさらに失速させる可能性が充分にありえる。
失った信用を回復させることは安易ではないが、サムスンがこの危機をどのように乗り越えて行くか注視が必要である。
(編集協力:岡徳之)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス