ユーザーは、BubbleとFacebookアカウントを連携したり、スマホの電話帳と同期したりできる。また、自分のプロフィールに子どもが通っている小学校や幼稚園を登録できるため、友だちに知り合いのシッターを紹介する際にもスムーズだ。
Bubbleが優れている点として、保護者がシッターを一方的に評価するのではなく、お互いに評価しあえる機能を盛り込んだことが挙げられる。仕事を終えたシッターは、保護者に対する評価をBubbleに書き込めるのだ。仕事を頼む側も引き受ける側も、相手のプロフィールや第三者からの評価を事前に見て、じっくり検討できる。この “相互評価制度” は、今後日本でヘルパーやベビーシッター文化が発達していく中で、重要な視点だろう。
Bubbleは、アプリを利用してシッターを予約した保護者に対して、手数料を取るビジネスモデルを取っている。予約セッションごとに、手数料3.50ポンド(日本円で460円程度)の支払いが必要で、アプリ内からワンタップでオンライン決済が可能だ。なお、プラットフォームを利用するシッターに対しては手数料を徴収していないため、シッターは「自分自身で設定した時給×依頼された時間分」のすべてを「報酬」として得ることが可能だ。
シッターの経験値や年齢によっても価格は異なる。ちなみにロンドンのベビーシッターの時給は、平日の日中の時間帯で10.00ポンド(日本円で1300円程度)前後が相場。祝祭日や早朝・夜間の場合、時給15.00ポンド(日本円で2000円程度)程度まで上昇する。
欧州では、出産したら早々にベビーシッターを雇って、自分たち夫婦の時間を取り戻そうとする人が多い。日本ではあまり考えられないが、シッターを雇って夫婦はカップルとしてデートをしたり、外食をしたりする。
ちなみにフランスでは、シッターやナニーに預けると社会手当の支給や税控除がある。財源は企業の拠出金や税金で、社会保険制度よりも幅広い人が使える仕組みとなっている。背景には、子どもが増えることや女性が働くことが、長期的に社会を豊かにするという発想があるようだ。
欧州と日本では文化の違いがあるとはいえ、信頼できるベビーシッターがいれば、どうしても外せない用事がある時なども安心して頼むことができ、暮らしにゆとりが出てくることは間違いない。
ベビーシッターを「する」のも「頼む」のもごく日常的なこと……となるには、日本ではまだまだ時間がかかりそうだ。しかし、日本が抱える「待機児童」「病児保育」「女性の働き方」などの問題を解決するには、今後ベビーシッターなどの「育児シェアリング」の概念が広がっていく必要があるだろう。
(編集協力:岡徳之)
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