メガネ型ウェアラブルの特許出願数、日本が世界のトップに--大阪で定例研究会議 - (page 2)

超小型チップセットからロボホンまで話題は幅広く

 ウェアラブルではデバイスを動かすチップセットの性能が機能に大きく影響し、世界各国で開発競争が進んでいる。

 大阪を本社に置くファブレスメーカーのメガチップスでは、超小型で各種センサのアルゴリズム演算を超低消費電力でリアルタイムに処理できる「frizz」を開発。営業本部の奈良裕介氏は「同社が持つ位置測定や脈拍測定、転倒検知などのアルゴリズムをあわせて提供することで、多様なアプリを短期間で作成できる」と説明する。

 また、2014年にはカリフォルニアを拠点とするSiTimeを子会社化し、MEMSタイミングデバイスでは90%のシェアを占めている。1.5mm×0.8mmという鉛筆の芯ほどの超小型サイズながら振動に強いことからウェアラブルやIoTの搭載に最適で、今後さらに高性能でコンパクトなデバイスの開発につながりそうである。

ウェアラブル用チップセットは小型、省電力、処理精度の向上が進んでいる
ウェアラブル用チップセットは小型、省電力、処理精度の向上が進んでいる
鉛筆の先ほどの小さな部品が使われている
鉛筆の先ほどの小さな部品が使われている

 持ち歩けるロボット=ウェアラブルコンピュータの1つということで、シャープのロボホンに搭載されているコミュニケーションユーザーエクスペリエンス(UX)の技術の解説も行われた。

 ロボットソフト開発部の長沢忠郎氏によるとロボホンはユーザーと違和感なく会話するために「3つの音声認識エンジンと音声、動き、光など全てのUIを通して適切なタイミングでユーザーに話しかけ、心地よい応答ができるようにしている」という。

 HVML(Hyper Voice Markup Language)対話エンジンは「ユーザーと何度も会話を往復することで次の言葉を誘導し、対話の流れを作る」が、通常の対話シナリオに加えてセンサで判定した抽象化情報などからシナリオを選択する「環境知性」を採用することで、さらに賢くなる。他にも技術者が使い切れていない機能がいろいろあり「今後の成長に期待してほしい」ということであった。

ロボホンのコミュニケーションUXシステムの構成図
ロボホンのコミュニケーションUXシステムの構成図
HVML対話エンジンに「環境知性」を加えて心地よい対話を生み出す
HVML対話エンジンに「環境知性」を加えて心地よい対話を生み出す
環境知性とは
環境知性とは

 定例会では他にもさまざまな技術解説や採用事例、ビジネスモデルが紹介された。最後に、副理事のウエストユニティスが開発する産業用スマートグラス「InfoLinker」が、7月末に開催される「鈴鹿8時間耐久ロードレース」で、元WGPライダーの上田昇監督率いるTeam FRONTIERのピット支援ツールとして採用されると明かした。

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