スマートフォンネイティブが見ている世界

アプリでTwitter、LINE監視--子どものネットトラブルは減るのか - (page 2)

静かにウォッチか素直に見せてもらうか

 Filliはメッセージが読まれるわけではないので、Android端末を使っており、その趣旨を理解して受け入れてくれる子どもの安全管理のためには使えるだろう。中学生では難しくても、小学生などこれからSNSを利用し始める子どもに、同アプリの利用を前提としてSNS利用を許可するという方法もありだろう。もしそうではない場合は、どのように子どものSNSにおける問題を把握すればいいのだろうか。

 ある専門学校の教員は、生徒のTwitterやLINEのアカウントを静かにウォッチしているそうだ。たとえばTwitterなら、Twitterプロフィール検索やツイート検索などで学校名で検索する。1人の生徒のアカウントを把握できれば、そのフォロワーなどに他の生徒たちがいる可能性が高い。鍵がかかっていなければアカウントをリストなどに追加しておいてツイートを追うことができる。

Twitterプロフィール検索
Twitterプロフィール検索

 LINEの場合、「友だち追加」「友だちへの追加を許可」をオフにしていない生徒がおり、自動的に友だちになっていることがあるという。グループトークこそ見られないが、タイムラインでのやりとりによっておおよそのトラブルなどが把握できるそうだ。

 どちらの場合も、「『あの書き込みは何だ』などと言わないのがポイント」という。SNSを見ていることが分かるとブロックされてしまうため、静かに様子を見ているそうだ。問題を見つけた時は、「SNSではなく、別の生徒など他のところから情報を得たということにして指摘する」という。「やりとりにびっくりしてすぐに止めたくなるが、ぐっと我慢している」。

 ある保護者は、スマホを持ち始める時に「やりとりを見るかもしれないよ。見られても問題ないような使い方をしてね」と言って渡したそうだ。別の保護者は、素直に「友だちとどんなやりとりをしているの?」と言って自分のスマホを見せ、子どもにもやりとりを見せてもらう。最近では、子どもが自分からLINEのタイムラインを見せて、「みんなチェーンメールばかり投稿している」などと報告してくるそうだ。

 日頃からお互いに話題にすることで、問題があったらすぐに分かるというわけだ。つまり、SNSにおける投稿を物理的に見るかどうかはあまり重要ではなく、実態とトラブルを把握することが大切なのだ。

 一番大切なのは、子どもがネット経由でトラブルに遭わないこと。もしトラブルに遭っていたり遭いそうだったら、早期に発見して対処することだ。ネットにおける危険や、それを防ぐ手立てなどを教育するとともに、日頃から話題にして問題をできるだけ早く把握することが大切だろう。子どもや状況に合わせ、さまざまな方法でトラブルを把握し、できるだけ早く対応するようにしてほしい。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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