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IoT時代の通信キャリア「ソラコム」の挑戦--創業4カ月で1500社が採用 - (page 2)

藤井涼 (編集部)2016年02月25日 07時00分
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創業まもないベンチャーが信頼された理由

 このように大手企業を始め、数多くの事業者がソラコムのユーザーやパートナーとなっている。しかし、IoT事業者にとってデータを取得するための通信はサービスの要だ。いくらコストが低いとはいえ、なぜ創業して間もない同社が、これほど多くの企業から信頼を得ることができたのだろうか。

 その最大の理由は、ソラコムのサービスが非常にセキュアであることだ。機密性の高い情報をIoTデバイスから送受信する際には暗号化処理が必要となるが、小型なものも多いIoTデバイスの限られたリソースではその処理が難しい場合がある。同社が提供する「SORACOM Beam」は、こうした暗号化などの高負荷処理や接続先の設定を、クラウドにオフロードすることで、暗号化されたデータの安全な送受信を実現している。

「SORACOM Canal」
「SORACOM Canal」

 また、1月末にリリースされた新機能もセキュリティに関するものが中心だった。たとえば、「SORACOM Canal」は、SORACOMと顧客のAWSの閉域網の間でプライベート接続することで、インターネットを介さずにセキュアにデータ通信ができるサービス。また、「SORACOM Direct」はAWS以外のプライベートクラウドと専用線で接続するサービスだ。閉域網につなぐことで、たとえばコネクテッド・カーがハッキングされて暴走するといったリスクを防げる。

「SORACOM Direct」
「SORACOM Direct」

 「企業がIoTに取り組む上では、セキュリティの課題を払拭しなければいけない。我々の仕組みの堅牢さ、たとえば一部分が壊れてもすぐに復旧できるように設計している点などを事前にお話ししていたので、我々のエンジニアリング能力の高さについてはお客様に安心していただいている。サービスを開始して4カ月が経ち、1度も障害を起こしていないことも、信頼につながっているのでは」(玉川氏)。

新たな認証サービス「SORACOM Endorse」も提供
新たな認証サービス「SORACOM Endorse」も提供

 モバイル通信のコアネットワークとサポートシステムをクラウド上に構築することで、新機能の開発を容易にし、低価格でありながらセキュリティ性も高い――。言葉にするだけなら簡単だが、実現するには非常に高いスキルが求められる。これまで国内でソラコムほど支持されるサービスが出てこなかったことが、それを証明しているだろう。

 同社の社員は現在18人で、そのうち約半数がエンジニア。通信キャリアやテレコムベンダー、セキュリティ系、デバイス系など、さまざまな企業で活躍していたメンバーによって構成されている。平均年齢は30代中盤から40代前半と、ベンチャー企業と呼ぶには少々年齢が高いが、いずれも前職ではCTOクラスの実力者で、開発スピードでも若手のベンチャーに引けをとらないと玉川氏。なお、同社ではAWSとSORACOMが使い放題というユニークな福利厚生もあるそうだ。

現状の課題や海外展開は

 多くのIoT事業者から引き合いがあり、順風満帆のように見えるソラコムだが、課題もあると玉川氏は話す。それは、ネットワークを受信するための肝心の通信モジュールが高額であること。そのため、今後はモジュールが低価格で手に入るように、さまざまな形で働きかけていくという。

 また、時期は未定としながらも海外展開も見据えている。「グローバル市場を見渡すと、日本より断然大きい。IoTデバイスは2020年に250億個に増えると言われているが、規模でいえば欧米が大きく、日本はその10分の1くらい。やはり、プラットフォーマーとしてグローバルに出ていく必要があると考えている」(玉川氏)。

グローバル展開について語る玉川氏
グローバル展開について語る玉川氏

 ただし、グローバル展開するには現地の通信キャリアと提携する必要があり、キャリアの動向は地域によって異なる。たとえば欧州では、EU各国を多くの人が行き来しているため、SIMの挿し替えが日常となっており、MVNO市場も拡大している。その一方で、米国は現地の主要キャリアによる寡占状態が続いており、MVNO市場はまだ小さい。こうした状況があるものの、同社ではすでに他国の通信キャリアと交渉を進めており、ある程度展開に向けた目処が立っているという。

 今後は、IoTプラットフォームとしてのビジネスをより強固にしていきたいと玉川氏は展望を語る。「AWSで多くのウェブサービスが登場したように、多くのIoTシステムを生み出す存在になりたい。IoT向けの通信やデバイスの敷居を下げることで、日本のもの作りの会社のIoT化やグローバル展開を支えたい。富士山でいうと(現状は)まだ1合目。このまま2合目、3合目へと登っていきたい」(同)。

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