2012年の途中から対応機種を登場させ、紆余曲折あった上で2013年から遠隔操作がスタートしたパナソニック。翌年の2014年モデルからは最下位グレード以外はスマートフォンによる操作に対応するようになり、エアコンの単純なリモコンのほか、アプリを使い詳細な制御ができる。さらに上位機種ではエアコンのセンサを使って室内監視できる機能を提供している。
通信アダプタは他社と少し違っており、専用のアクセスポイントを設置、各エアコンの通信アダプタとは920MHz帯の特定小電力無線を使って通信する。アクセスポイントは有線LANで自宅のネットワークに接続するため、有線LANの空きポートが必要になるが、無線LANアクセスポイントの対応を考慮せずに済むのはわかりやすい。
操作はパナソニックのクラウドサービス、「CLUB Panasonic」のIDが必要となり、必ずそれを介してエアコンなどを操作する仕組み。アプリは「パナソニック スマート アプリ」で、エアコンだけにとどまらず、テレビやデジタルカメラまでパナソニックのネット家電全体を操作できるアプリとなっている。
エアコンの操作は画面上で室温などを設定し、まとめて転送する方式。風量や風向もアプリから設定できる。注目点としては、操作は「120分後切」というように切タイマーとして送信されること。安全を配慮したのか連続運転は遠隔操作では指示できない仕組みになっている。
アプリからは、最下位機種でも室温と外気温のモニターが可能。エコ情報として電気代の目安も知ることができる。今回試したのは2013年にパナソニックのスマート家電対応モデルとして大々的に登場した「CS-T283C」。とはいえグレードとしては上位機種ではないので湿度センサ等はない。上位機種では湿度センサがある機種は湿度もモニターできる。
また、パナソニックスマートの中ではエアコンのリモコンとは別の機能となるが、「おへやモニター」も用意される。これは、冷気や暖気を無駄なく浸透させるため人感センサを内蔵し、温度を細かく制御するほか、人がいるかどうか、動きが大きいか小さいかまでを時間ごとにクラウド側で記録して表示するもの。
たとえば子供が部屋にいるかどうかを確認したり、高齢者の日々の活動具合を確認したりできる。おへやモニターは有料化を予告しているが、現在のところ無料で提供中だ。
また、「おやすみナビ」のアプリも提供している。これは、起床時間を設定すると、それに合わせて段階的にスマートフォンがエアコンに設定温度を変化させる指示を送り、睡眠中の快適度を上げようというもの。枕元にアプリを置いておくと寝返りなども判断するとしているが、専用のセンサでないことから正確に状態を把握するのは難しいようだ。
おやすみナビは、現在は粗削りなサービスというのが率直な感想だが、今後、ウェアラブルデバイスとペアリングしたスマートフォンから制御するなど、より進化して便利な機能となる可能性があり、非常に期待できる。
3社の機能を見てみたが、エアコンの遠隔操作をするにとどまらない進化の兆しが見えていることがわかった。方向性は違うものの、エアコンだけでなく、他の家電の連携にも力を入れており、同メーカーでそろえるとより多機能になるという、新たな囲い込みも始まっている。
エアコンの世界では省電力性の変化のほか、ここ数年では新冷媒R32への切替やセンサ機能の進化、脱臭機能なども進んでいるが、それとは別にスマートフォンのリモコンやネットワークを通した連携機能など、新たな進化が始まっている。この夏、エアコンを購入するなら、同時にネット機能の検討もおすすめしたい。
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