イベント「Atmosphere」に見るグーグルが働き方を考える理由 - (page 2)

一緒に未来を作っていける

 続いて、教育分野への取り組みについて話題が展開した。

菊池裕史氏
グーグル Google for Education日本統括責任者 菊池裕史氏
中村修氏
慶應義塾大学 環境情報学部 教授 慶應義塾インフォメーションテクノロジーセンター副所長 中村修氏

 ここでは、グーグルのGoogle for Education日本統括責任者の菊池裕史氏が講演。「2014年に小学生だった子供たちの65%が、現在存在していない仕事に就くと予測されている。教育分野では、それに向けた準備が必要である」と前置き。教育分野に向けた支援として、Chrome Bookの発売をはじめとする「ツールとソリューション」、グーグル・エデュケーター・グループなどによる「プログラムとコミュニティ」、プログラミング教育や女性のエンジニア育成する「教育に対する支援と投資」という3つの観点から取り組んでいることを紹介。また、Google Apps for Educationは全世界で4000万人が利用していることを紹介した。

 慶應義塾大学 環境情報学部 教授 慶應義塾インフォメーションテクノロジーセンター(ITC)副所長の中村修氏は、「慶應義塾大学が考えるICT環境」について講演。「日本で最初にインターネットにつながった大学である慶應義塾大学SFCではメールは当たり前、授業はオンラインで見られ、レポートはいつでも出せる環境が整っている」と前置きして、同大学の取り組みを解説した。

 「慶應義塾大学の10学部5万人の学生に対してITサービスを提供しているのがITC。約33人のスタッフで業務を回している。慶應義塾大学では、学生、教職員向けの全塾共通メールサービスで2010年からクラウドサービス導入に関する検討を開始し、2013年にGoogle Apps for Educationの導入を決定。今年春に完全移行が完了し、本格サービスを開始した」(中村氏)

 Google Appsを選択した理由について中村氏は「教育や研究でも連携しやすいグローバルなサービスであること、Gmailの利用者が多いことなどを背景にした、多くの利用者に対して親和性があること、学内システムとの連携でもメリットがあると考えた。Googleは中立性を持ち、一緒に未来を作っていけると考えたことも重要な要素であった」と語った。

井上陽介氏
グロービス グロービス・コーポレート・エデュケーション マネジング・ディレクター 井上陽介氏

99.999996%は無意識に判断

 続いて、「日本企業にイノベーションをもたらす人材マネジメント」をテーマに、グロービス グロービス・コーポレート・エデュケーション マネジング・ディレクターの井上陽介氏が講演。「この1~2年でよく出てくる言葉がイノベーション。だが、それを実現しようとした時に大きなハードルがあるのが現実。そして、リーダーに最も欠けている能力は、クリエイティビティとイノベーションを育てるスキルといわれている。世界の企業も日本の企業も悩んでいる」と現状を説明した。

 「従来のやり方や発想ではイノベーションを起こせない時代になっており、日本の企業のあり方そのものが、時代に適応しなくなっているという現実もある。ソニーがウォークマンでプロダクトイノベーションを起こしたが、その後、Appleはサービスを含めたビジネスモデルイノベーションを起こした。これが、その一例である。ビジネスモデルイノベーションを起こすには、企業の文化を変え、経営のあり方そのものを変えるマネジメントイノベーションを実現しなくては成し得ない。マネジメントイノベーションの実現には、スピード、オープン、ダイバーシティの3つが鍵になるが、それに加えて、志というものが重要である」(井上氏)

山地由里氏
グーグル ダイバーシティー日本統括責任者 山地由里氏

 また、「Unconscious Bias~先入観にとらわれない働き方」をテーマに、グーグルのダイバーシティー日本統括責任者である山地由里氏は、「ダイバーシティは難しいものと考えているようだが、誰でも今日から取り組むことができる」と切り出した。

 山地氏は、「人は無意識に情報の関連付けを行っている。これは、知らないうちに持っている先入観ともいえるものだ」として、同じ内容を記載した履歴書の場合、女性の名前で書かれたものよりも、男性の名前が書かれた方が評価点が高いことなどを紹介する一方、会場の参加者を巻き込んだデモストレーションによって、先入観によって起こるいくつかの事例を紹介した。

 「1000万ビットの情報がわれわれの周りにあるが、人間が1秒間に処理できるのは、そのうちのわずか40ビット。99.999996%は無意識に判断している。先入観を取り払うことは、ダイバーシティを考える上では大事な一歩である。自分が持っている常識、直感を疑ってみてほしい」

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