マーケティング自動化(中編)--情報システム部門への不満と期待 - (page 2)

尾花 淳(2BC) 吉澤亨史 山田竜司 (編集部)2015年05月29日 07時00分

現場と情報システム部門が連携するフェイズへ

福田氏 2007年ごろのグローバルで共通の動きで、米国でもほとんどのケースで現場がツールを入れて、後で情報システム部門が気づいてそれがクラウドと最高情報責任者(CIO)との間の歪みになっているといった記事は米国でも多かった気がします。それからSaaSやクラウドが一般的になって、そういった段階はくぐり抜けていると思うのです。

 逆に、やはり今グローバルの製造業などでの導入が何件かあるのですが、情報システム部門が増員されるケースは少ないと聞きます。その少ない人数の中で、もう全部に手を割けないから、気にしなくていいところは気にしたくない。自分たちがどこをサポートすればいいのか、という意識でビジネス部門と話をするケースがすごく多いと感じます。


(右から)マルケト代表取締役 社長 福田康隆氏 シャノン 代表取締役 最高経営責任者 中村健一郎氏

 それでミーティングに同席して、ビジネス部門がやりたいことは何かということをきちんと聞いて、だいたいセキュリティや社内の運用上など、自分たちがどう入ればいいかを考えていると感じます。情報システム部門と協力してどう解決していくかという姿勢は、大手企業などでも徐々に見られるようになった気がします。

笹氏 私の場合は、セールスフォースの顧客として客先に行くのも半分くらいなので、そうすると「セールスフォースが来るんだったら」と、情報システム部門がとりあえず参加するというのが結構あります。

 ただ、残りの半分は、やはりマーケティングの方が直接来て、情報システム部門はほとんど関わらない。最後のデータ連係のところだけAPIを教えてくれというのと、おっしゃる通りセキュリティのところ。普通の流れでは、そこのチェックだけで出てくることが多い印象です。

 確かにあまりうるさくおっしゃらないんですが、いずれにしても今までは情報システム部門が自前で作ったことのあるシステムが、パッケージ化されて欧米から来るというパターンでした。それが今回は、たとえばマルチチャンネルのMAなんていうと、情報システム部門は作ったことも見たこともないわけです。だから口を出せないところがあるのかなと思います。

尾花氏 だとすると今の情報システム部門の関わり方とは、要はそのシステムを使っていいのかという最低限のチェックに目を配りますという話です。また、既存の情報システム部門が面倒見ているところとの連携という話になると、情報システム部門を頼らざるを得ないでしょう。

 テクノロジがわかってマーケティング的なこともできる人材がいないといったときに「営業系の人にデジタルテクノロジを教える方法」と、「テクノロジをある程度わかっている人に、そのマーケティング的な素養をつけていってもらうといった方法」があります。

 今まさに、2015年春から新年度が始まったタイミングで、マーケティングにテクノロジをある程度わかる人をアサインしましょうという話になったときに、情報システム部門の人たちにどう貢献してもらえるのか、アイデアや思いはありますか。

中村氏 情報システム部門が、クラウドを入れたら仕事を取られて僕らはどうなるのか、といった話とは違い、マーケティングのエリアは別に今まで持っていたものではないので、抵抗感が低いエリアとはいえます。情報システム部門もお金がかかりすぎていないかと経営からの圧力が強くなっていると思うので、コストをどう抑えるかは大きな課題だと思います。

 ただ今は、情シス部門が協力的にはなっているとはいえ、受け身だと思うんです。結局はマーケだったり営業部門の人たちが、ベンダーに説き伏せられて「なるほどこれは使った方がいい」と言われる側であって「こういうのが最先端だから、MAを使ったマーケティングをあなたたちが考えなさい」みたいな押し込みが情報システム部門から起こってはいないと思うんですよ。そういうことをしてくれると嬉しいです。

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