マーケティング自動化(前編)--誕生は必然 - (page 5)

尾花 淳(2BC) 吉澤亨史 山田竜司 (編集部)2015年05月20日 07時00分

ITとマーケティングの懸け橋となる教育が足りない

尾花氏 福田さんはよく、(マーケティングの土壌を広げるには)世の中全体を対象にして取りくまなければいけないとおっしゃっていますよね。

福田氏 はい。将来5年、10年先を見据えれば、マーケターの裾野を広げなければならないということをすごく感じています。それでイベントでも大学生の方などに来てもらいました。そういう機会を増やしていくことで将来マーケターに育ってくれたらいいなと思います。マーケティング専攻の学生と話すと、大学で学んでいることはだいたい製品戦略、4P、ブランド、商品開発、コミュニケーションといった話で、何でテクノロジとマーケティングという話になるのかがさっぱりわからないといいます。私も商学部でしたが、当時と変わっていないんですね。


シナジーマーケティング SFBD室 Synergy!LEAD プロダクトマネージャー 岡本亨氏

 それから、これはマルケトの顧客層だけかも知れないのですが、具体的に「こうやりたい」という設計図を持っている人たちが多い。多分どういう製品やサービスが普及するときも、いきなり一気に普及するのではなくて、アーリーアダプターがいて、その人達が成功したらそれを見て「あそこがうまくいってるんだったら俺もやろう」という形で広がっていくと思います。

 まずはアーリーアダプターの顧客にしっかり成功していただいて事例を作って、そのノウハウを見れば「これはうまく活用しよう」という方がすごく多いマーケットだと思いますので、そこを何とか支援していきたいです。

尾花氏 確かに、本当に先ほどから出ているログの活用、データの活用という意味でのマーケティングという方向感、それで進化していくことはおそらく間違いない。その進化を支えるためのテクノロジを提供している皆さんの立場からしたときに、もうひとつ足りないピースは、マーケターの裾野を広げることではないかと思います。

 SFAやERPとマーケティングで一番大きく違うと思うのは、ERPが入る前から人事や会計はやっており、SFAの前から営業活動もやっていました。でも世の中の多くの企業からすると、マーケティングという業務そのものがないところもある。下手をすると「イノベーション」のように、いつかはやれた方がいいのかもしれないけど、具体的な取り組み方がよくわかという状況なのかもしれませんね。

笹氏 MAが使いこなせるかという話は、大企業でもよく出ますし、オートメーションとかログを取って、そのポイントポイントで、これは世間一般でジャーニーという言葉に置き換わるわけですが、そこで何をするか。きれいな絵を見せると「ふんふん」とおっしゃいますが、「電通さんに頼めるのかな」と、どうしてもアウトソースする話に落ちていってしまいます。中堅以下は特にですが、多くの企業はマーケティングをデジタルにどう活かせばいいのか、言っていることはわかるけど、実践するのはわからないように感じます。

岡本氏 尾花さんの先ほどの話でマーケティングの過去の話がありましたが、アナログなマーケティングは日本企業は昔からやってきた部分があると思っているんです。DMを送ったりチラシを配ったり、米国ほど先進的ではなかったですが、ダイレクトマーケティングを部分的にやっていたのはあったと思うんですね。

 マーケターがデジタルやウェブサイトのシステム、システムを使いこなす技術などに対するノウハウがまだ足りていないなというのは痛感しています。その意味でシナジーマーケティング自身、売り上げの半分近くが人的サービスなんですね。システムを提供した顧客に対してシステムの操作を代行したり、クリエイティブを代行制作したり、人的サービスを提供しているということもあって、まだまだデジタル意識の高いマーケターは日本には不足していると思います。そこにベンダー側とか、尾花さんのようなサービサーのビジネスも眠っていますし、これからもっと発展していくという気がします。

 中編に続く。

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