その第1弾のプロダクトが、WHILLと提携して提供する電動車椅子「WHILL Model A」のシェアソリューションになる。「今後大切なのは、障害を持った人がもっと自由にのびのびエンジョイできる生活であり、そのためには車椅子は大切な移動手段」と中山氏は話しており、公共施設やアミューズメントパーク、デパートなど、さまざまな企業や自治体を介して障害のある人にモビリティ手段を提供する狙いがあるようだ。
WHILLは、ドコモ・イノベーションファンドを通じてドコモが出資している企業の1つ。同社CEOの杉江理氏によると、車椅子は携帯電話などのコンシューマプロダクトと比べデザインや機能面であまり進化していないとのこと。そこでWHILLでは、誰でも乗りたいと感じるデザインと、24の小さいタイヤを用いることで雪道や砂利道なども走行できる走破性、そしてユーザーが大きなメリットを得られるソフトウェアを用意することで、新しい車椅子の体験を実現する「WHILL Model A」を開発したとしている。
なおWHILLのシェアソリューションは、ドコモから自治体や企業などを通じて提供されるとのこと。導入費用は4年契約で3.9万円となり、4月1日より受付を開始するとしている。
中山氏によると、ドコモはWHILLと次なるモビリティに向けた取り組みも進めているという。今回の発表では、RT.ワークスが開発した、歩行をサポートする電動歩行アシストカート「ロボットアシストウォーカー RT.1」、そして片山工業が開発した立ち踏み式電動自転車「ウォーキングバイシクル」についても、モビリティシェアの提供に向け実証実験をすることが明らかにされた。
RT.ワークスの代表取締役である河野誠氏によると、7月に発売される予定のRT.1は、乗車するのではなく安心して歩行できることを支援するために作られた、歩行サポート型ロボットだという。「家の中の30フィートの範囲から、3マイルの範囲にまで出かけて活動できる環境を目指していた。家から外に出て活動範囲を広げることが、製品の活動範囲を広げるきっかけになる」(河野氏)ことから、今回のドコモの構想に賛同しての実証実験参加となったようだ。
一方のウォーキングバイシクルは、足で踏むことで進める電動自転車という位置付けになる。片山工業はもともと金属加工を得意とした、自動車用部品を手掛ける会社。だが、代表取締役社長である片山昌之氏によると、少子高齢化や車の利用が進んで足を痛めやすい人が増える中、ものつくりの技術を活かして課題を解消したいと思い、こうした製品を手掛けたという。プロダクトデザイナーの鄭秀和氏や、グラフィックデザイナーの原研哉氏が加わるなど、デザイン性にこだわっていることも特徴で、「健康や美容にも役立つので、今回のコラボでより多くの人に乗ってもらえれば」(片山氏)と話した。
さらに中山氏は、2020年の東京五輪に向けて実現したいモビリティシェアの姿についても触れ、「東京五輪はコンパクトな五輪を目指しているので、エリアも限られた範囲になると考えられ、車が自由に乗り入れするスペースはない。そうしたエリアで自転車や車椅子などの乗り入れが簡単かつ自由に使えて、街を往来できる世界を実現できればと考えている」と思いを述べた。
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