青と緑のチームに分かれてポータル(拠点)を奪い合う位置情報ゲーム「Ingress(イングレス)」。Googleの社内ベンチャーであるNiantic Labsが開発したこのスマートフォンゲームがギーク層を中心に人気を集めている。現在200の国や地域で提供されており、累計ダウンロード数(iOS/Android)は1000万を超えるという。
ゲームでは実在するランドマークや名所がポータルになっており、実際にその場に行かなければ奪えない。そのため、ポータルを探し歩く中で、地元の魅力を再発見したり、健康的になったというプレーヤーもいることから、企業や自治体も注目し始めている。Ingress自体に課金機能はないが、遠方まで足を運び観光や食事にお金を払う、いわゆる“リアル課金”による町おこしを期待できるからだ。
岩手県は、観光振興や地域活性化を目的に、いち早くIngressを取り入れた自治体の1つ。Ingressを新たなPRツールと位置づけ、2014年9月に庁内の有志職員10人からなる「岩手県庁Ingress活用研究会」を発足した。ただ、当時は首都圏に比べるとポータルの数が圧倒的に少なく、せっかくエージェント(Ingressプレーヤー)が遊びにきても、十分に楽しめないという課題があった。
来県者を増やすには、ポータルの充実化が不可欠。そこで同年11月に開催したのが日本初の自治体公式イベント「ポータル探して盛岡街歩き」だ。その名の通り、市内にポータルを大幅に増やすことを目的に、候補地を探索するという内容で、当日は県内外から50人以上のエージェントが参加し、約300カ所のポータルを申請するなど盛況だったという。
岩手県Ingress活用研究会 ポータル探して盛岡街歩きイベント。
今から、ポータル申請に行きま〜す‼︎
— 岩手県広聴広報課 (@pref_iwate) 2014, 11月 9
これを受け、Niantic Labsの川島優志氏は「最初に動いた岩手県の独創的な試みをアシストしたいと思います」とツイート。この日の申請の一部を優先審査するという異例の措置を取った。ポータル審査は数カ月~1年待ちとも言われていることから、Niantic Labsの“神対応”はエージェントたちの間でも話題となった。盛岡市内のポータルは急増し、現在は800以上あるという。
岩手県庁はこの“ポータル大量発生”の感謝を込めて、2月14日のバレンタインデーに第2弾イベント「ハック&キャンドル in 盛岡」を開催した。スノーキャンドルに火を灯して盛岡市内をライトアップする「もりおか雪あかり」の開催に合わせたもので、施設や飲食店の協力を得ながら丸1日かけて実施する大規模なイベントとなった。
イベントはまず、Ingressデビューして日が浅いレベル1~3のエージェントを対象にした初心者講座からスタート。青森の八戸などから招かれた上級者エージェントが、約10人の参加者と実際に市内を歩きながら、ハックやデプロイ、リンクなどの基本機能をレクチャーした。参加者がデプロイしやすいように、他のエージェントがポータルを破壊してあげる心暖まる一幕も。
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