筆者がテストした範囲では、Cube 3は概ねうまく動作した。またプリント速度は、「iPhone 6」用の標準的なケースを10分弱でプリントできたため、極めて高速だと言える。当たり前の話だが、2色の素材からなるオブジェクトをプリントするにはさらに時間がかかる。時間がかかるといっても、数時間を要するプリントの場合には問題に遭遇しなかった。
一方、10時間以上かかるような大きなオブジェクトでは思ったようにはいかなかった。プリントの途中までは順調であったにもかかわらず、いきなりおかしくなることが何度もあったのだ(しかし、常にというわけではない)。その結果、まるでプリンタのキャリブレーションがずれた時のような、プラスチックの糸の塊ができあがってしまった。こういった失敗は時間だけではなく、フィラメントもかなり無駄にする。そして不思議なことに、プリントをやり直した場合、キャリブレーションのやり直しもしていないのに同じデータからちゃんとしたものがプリントできた。
このような不思議な挙動は以前にも他のプリンタで経験しており、今のところ納得できる理由は見いだせていない。ともかく、大きなオブジェクトをプリントする際には、途中で定期的にチェックした方がよいだろう。
Cube 3の性能については、続けてプリントする場合でも必ず結構な時間をかけてヘッドを冷却する必要があるという不満もある。3Dオブジェクトのプリント時にはヘッドに熱をかけてフィラメントを溶かす必要があるため、連続してプリントしたい場合、冷却工程は時間の無駄になるだけでなく、エネルギーの無駄遣いにもなる。
それ以外の点において、このプリンタは素晴らしいメカニズムを搭載しており、とてもよくできた製品だと言える。すべての部品はうまく連携し、動きはシャープで正確だ。Cube 3は、筆者がレビューした他の3Dプリンタよりも若干動作音が大きい。うるさいというほどではないが、静かな部屋で使用していると気になる程度の音ではある。
Cube 3には素晴らしい点がたくさんある。デザインとプリントメカニズム、使いやすさは特筆に値する。大きなオブジェクトのプリント中に動作が突然おかしくなるという問題がなかったら、今までに使ったなかで最高の3Dプリンタとなっていたはずだ。
また、プロプライエタリなフィラメントカートリッジは、価格こそいただけないものの、プリンタ使用時のエクスペリエンスを、インクジェットプリンタなみに快適なものにしてくれた。3D SystemsはCube 3で素晴らしいアイデアを複数採用し、それらのほとんどはうまく実現されている。
総合すると、このプリンタは999ドルという、デュアルエクストルーダ型のプリンタとして最低レベルの価格帯にありながら、十分な性能を有している。この価格と、現時点でのコンシューマーグレードの3Dプリンタ市場に目を向けた場合、Cube 3は最高に素晴らしい製品だと言えるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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