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「光コラボ」で戦局は動くのか--携帯キャリア3社の決算を読み解く - (page 3)

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ソフトバンクはSprintの減損が国内事業にも影響を及ぼす

 今回の決算で、最も勢いを失っているのがソフトバンクだ。2月10日に発表された同社の1~3四半期累計の営業収益は、前年同期比プラス41%の6兆4311億円、営業利益が前年同期比マイナス16.2%の7880億円。前期と同様、前年同期にはガンホー・オンライン・エンターテイメントやウィルコムの子会社化による一時益があったことから、それらを除くと営業利益は増益になるとのことだが、同社に大きな影を落としているのは米国のSprint事業だ。

 その理由はSprintの減損処理にある。Sprintは10~12月期の決算で、総額21億3000万ドル、日本円でいうと2500億以上の大幅な減損損失を計上したと発表。Sprintは米国基準、ソフトバンクは国際基準での会計となることから、ソフトバンクは減損を実施しないという対応となったようだが、ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は「形式上減損したくてもできないが、厳粛に受け止めている」と話していることからも、事態の深刻さが伺える。


Sprintは21億3000万ドルの減損損失を計上。会計の違いからソフトバンク側の減損はないとしているが、Sprint再建の厳しさをうかがわせる

 当初目論んでいたT-Mobile USの買収が、実質的に米当局の支持を得られず実現しなかったことから、単独での立て直しをすることとなったソフトバンクだが、Sprintを取り巻く状況は非常に厳しい。インフラ改善に向けた投資でキャッシュフローが厳しい状況が続いているのに加え、足元の競争ではT-Mobile USに抜かれ、4位に転落する可能性も高まってきている。

 そうしたことから孫氏は、シリコンバレーに構えていた拠点をコスト削減のため縮小する方針を打ち出し、“虎の子”であるSprintが保有する周波数帯に関しても、「余る部分があれば、一部売却することを検討の選択肢として排除しない」と話している。

 決算説明会の場でも、Sprint売却の可能性について何度か記者に問われるシーンが見られたが、孫氏はポストペイド契約数の増加やインフラの改善傾向が見えてきたこともあり、「挑戦してみて、山の険しさを認識しているのが正直なところだが、今は懸命の努力をするに尽きる」と、売却の可能性を否定。当面はソフトバンク単独での立て直しに注力する構えを見せている。


Sprintのポストペイド契約数が純増に転じるなど改善の傾向も見られることから、当面は自主的な再建を続ける構えを見せている

 では、ソフトバンクモバイルを主体とした日本のモバイル事業はどうなっているのだろうか。決算内容を見ると、ソフトバンクモバイルは契約数の増加や販売する端末の単価が上昇したことから、売上は592億円増の1兆7226億円と、前期に続いてプラス傾向を示している。だがARPUは4250円と、前期比10円のマイナスとなるなど、引き続き減少傾向が続いているほか、解約率も1.34%と、こちらも前期と比べ上昇している。

 また1月23日、ソフトバンクはソフトバンクモバイル、ソフトバンクテレコム、ソフトバンクBB、ワイモバイルの4社を合併すると発表しており、今後PHSも含めれば会員数でKDDIを抜き、国内2位キャリアとなる。孫氏はこの点について、「回線数は2位となるが、ワイモバイルはWi-FiルータやPHSの契約数が多い。携帯電話の台数という意味ではまだ3位だ」と現状を評価。

 加えて孫氏は「みまもり携帯やフォトフレームなどを売って、とにかく数を稼ごうという時期もあったが、いまは端末に力点を置いている」とも話しており、今後はスマートフォンへの乗り換えを進めるなど、数よりも経営を優先し、収益性を高める方針をとるとのことだ。

 また、光コラボレーションモデルを受けて提供される「Softbank 光」と、セット割の「スマート値引き」の提供に関しても、「NTT東西が卸売を開始するので、それを活用してセット割をやることにした」と説明するなど、国内での取り組みに関しては受け身の印象を与える発言が多く見られ、従来の勢いが失われている印象を受ける。

 その要因として孫氏は「10年に1度、インフラの大きな転換期があり、そこに関しては積極果敢に取り組むが、いまはその転換期ではない。転換期ではない時に無理にニュースを作るのはどうかと思う」と説明するが、やはりSprintの立て直しが想定以上に困難となっており、そちらに資金やリソースを費やしたいというのが本音であるようにも見える。


ソフトバンク傘下4社の合併で国内2位キャリアとなるが、今後はスマートフォンによるメイン回線の利用獲得に注力し、収益性を高める方針をとるようだ

 そのためには高い収益を生み出す国内事業の安定が必要であり、4社の合併も安定化に向けた布石と見ることができよう。しかしながらLTEインフラの高速化でソフトバンクは出遅れ傾向にある一方、国内の設備投資は“ピークを過ぎた”として抑制する傾向にあるなど、今後収益優先でサービスの魅力が落ち、競争力低下につながる可能性もある。2014年はアリババの上場などに沸いたソフトバンクだが、新しい事業の伸びしろが少ない中で、いかに国内事業の安定とSprintの立て直しを両立できるかというのは、今後大きな課題となってくるだろう。

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