15周年迎える「ヤフオク!」、CtoC王者の憂いと目論み - (page 2)

井指啓吾 (編集部)2014年09月26日 07時30分

 ここ1年間で、それまで苦戦していた状態から抜けだし、成長に向けての足がかりができました。そのきっかけとなったのが、1年前のEC革命。売り手にも買い手にも費用が掛かるという“摩擦”を取り払いました。

 売上をへこませる施策であり大きな決断でしたが、それでユーザーが戻ってきてくれました。今は、前年対比でユーザー数を増加させるというループを作り出しているところで、そのためには、これからも摩擦を無くしていくのが重要だと思っています。

 EC革命で金銭的な摩擦の一部は取り除いたのですが、ほかにもコミュニケーションの摩擦などがあります。ヤフオク!はコミュニーションをとりながら取引をする必要があります。それは血の通った取引であり、いい部分でもあると思いますが、一方で「もっと簡単に取引したい」というニーズも高い。より簡単な取引ができるように、ヤフオク!における「取引の革命」を起こしていきたいと思っています。

 具体的には、メッセージではなくてステータスボタンの更新でお互いの状況をやり取りできるツールを、すでに試験的に導入しています。もう少し様子をみて、微修正を加えてから正式に公開する予定です。

――アプリとPCとではどちらの利用者が多いのでしょうか。

 (アプリではなく)スマートフォンとPCというくくりでは、まだPCのほうが多いです。ただし、週末はスマホが使われることが多く、PCとスマホの利用率が半分近くになります。

――アプリでいうと、同じCtoCサービスの「フリマアプリ」がシェアを伸ばしています。


 プロダクトをうまく作っているなと感じますね。常に意識しています。フリマアプリのシンプルで使いやすいところは、ヤフオク!が15年の歴史の中で便利にしようと思って実装した機能や仕組みが“too much”になってしまっていることを気付かされます。

 CtoCやリユースの全体のパイを広げるという意味では、競合というよりは「一緒に増やしていきましょう」という気持ちでしょうか。全体のパイが拡大すれば、その中で、ツールとしてヤフオク!を選んでもらうことを考えればいいと思っています。

――ヤフオク!とフリマアプリのユーザー層は異なりますか。

 そうですね。ただ、いずれはお互いのユーザー層が近づいていく気がします。若者層はフリマアプリのほうがニーズに合っていて、特に若い女性に人気がある。ヤフオク!がそこを取れていないのはもどかしくもあるので……。

 若い女性の層はプロダクトに対して非常に厳しいと思うので、そこを取るべく、きちんとした(プロダクトの)磨きこみをしなければと思います。

――具体的な施策は考えていますか。

 そこを考えている部隊もいます。ヤフオク!自体はユニバーサルに、すべての人に使ってもらうということを意識しています。そのバランス感を保ちながら、若い女性に訴求できるものを作っていくというのは、なかなか難しいですね。

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 なので、ベーシックな戦略にはなりますが、誰もが使いやすいものへと磨き込みを徹底していく。それによって、手軽に使いたいCtoCの層も取り込んでいきたい。

 また、ヤフオク!が取り逃している若い女性層はアプリを使っている人が多いので、そういう意味でもアプリの磨きこみというのは大事。アプリ開発の優先順位は最も高く設定しています。

 プロダクトチームには、より短い時間で出品ができて、より短い時間で取引を終えられるものを作るよう意識させています。機能の修正前後の時間を比べたり、他のフリマアプリでかかる時間と比べたりなどしています。

――特に意識しているフリマアプリは。

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