さて、「利用規約」の話が出ました。皆さんは、こうしたソーシャルメディアを利用する時に、アカウントを作りますね。その際に、「利用規約に同意する」というボタンをクリックしているはずです。ソーシャルメディアに限らず、恐らく月に何回も利用規約に同意をクリックしている、というユーザーも多いのではないでしょうか。
確かに同意しない訳にもいかなそうな利用規約ですが、皆さん、その内容はご存じですか。Twitterでいえば、例えば前述の公式RTやマスメディアでの転載など、皆さんはTwitter社が認めたツイートの流用に全て同意したことになっています。その期間は永久、地域は全世界、つぶやきの改変も自由なら、第三者の商売に使わせることもTwitter社の自由という、結構驚きの条件です。というか、ほとんどのソーシャルメディアで、利用規約の内容は似たりよったりです(少し古いデータですが、こちらを参照)。
個人データが企業に集められて流出したり、ビジネスに転用される事件も相次いでいます。こうした個人情報も、皆さんは利用規約である程度流用には同意したことになっています。ネットの利用規約は、かなり一方的に向こうの有利になっているものも多いのですね。例えば、禁止行為は数多くあって、第三者の著作権侵害はもちろん、ソーシャルメディアの中にはビジネスや勧誘行為を一切禁止しているものもあります。やり過ぎと見られれば、つぶやきはもちろん、アカウントの削除も先方の判断で自由です。レディーガガなど有名人の公式アカウントでも、たまにこれをやられます。不満に思ってメディア側にクレームする場合、最後は先方の地元で裁判、というルールになっています。たいていはカリフォルニアの、LA以外のどこかの町で。
なかなかヘビーですね。もちろん、「消費者保護法制」と言って行き過ぎの規約類に歯止めをかける法律もありますし、実際にやり過ぎた利用規約が炎上して会社側が謝った、などというニュースも少なくありません。とはいえ、TwitterもFacebookも外国企業なので、実は日本のユーザーはたいして守られていないのが実態です。
考えなければならない課題ですが、まずは、自分にとって大事なサービスであればあるほど、一度くらいは利用規約を読んでみるのも良いかもしれませんね。今日は、ここまで!
(続きは次回)
(レビューテスト)利用規約には僕らが不安になる記載も多い。でも利用規約に同意しなければ、ソーシャルメディアは使えない。あのサービスを使わない生活なんて考えられない。僕らは、どうすれば良いだろう?答えは、皆さんの中に!
【第1回】著作物って何?--文章・映像・音楽・写真…まずイメージをつかもう1991年 東京大学法学部卒。1993年 弁護士登録。米国コロンビア大学法学修士課程修了(セゾン文化財団スカラシップ)など経て、現在、骨董通り法律事務所 代表パートナー。
著書に「著作権とは何か」「著作権の世紀」(共に集英社新書)、「エンタテインメントと著作権」全4巻(編者、CRIC)、「契約の教科書」(文春新書)、「『ネットの自由』vs. 著作権」(光文社新書)ほか。
専門は著作権法・芸術文化法。クライアントには各ジャンルのクリエイター、出版社、プロダクション、音楽レーベル、劇団など多数。
国会図書館審議会・文化庁ほか委員、「本の未来基金」ほか理事、think C世話人、東京芸術大学兼任講師などを務める。Twitter: @fukuikensaku
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」