デジタル発の“ディズニー”になるか--「Angry Birds」のRovioが目指すエンタメ企業の姿 - (page 2)

それほど難しいこととは思っていない。すばらしい体験を提供してファンを楽しませることができれば、急速に人気が出る可能性はある。Angry Birdsだってそうだった。オーディエンスのセンスにアピールする、共鳴するものであれば、ヒットするし受け入れられるだろう。

――リビングルーム戦略はどう考える。モバイルゲームから拡大する必要性を感じているのか。

 Angry Birdsをはじめ、Rovioの全ブランドを360度のブランドにしたいと思っている。ポケット(スマホ)でも、リビングのカウチでも、いつでもどこでもゲームにアクセスできるように、さまざまな画面でプレイできるようにしている。その考えのもと、PlayStationやXboxなどの主要なコンソールに対応しているし、サムスンのSmart TV向けにも提供している。

 我々はプラットフォームとして中立で、モバイルでもiOS、Android、Windows Phone、BlackBerryに対応している。重要なことはファンが何を使っているか、どこでコンテンツを楽しんだりゲームをしたいのかであって、プラットフォームではない。その意味では戦略はなく、市場の動向によって決定する。

 モバイルゲーム市場は爆発したが、ゲームコンソールがなくなるとは思わない。通勤など移動中にゲームがしたい人がいれば、専用マシンで本格的にやりたい人もいる。バーチャルリアリティが現実のものになりつつあり、いまのコンソールと同じ形式かどうかはわからないが、ゲーム専用マシンの必要性はあるのではないか。

――日本市場での戦略は。世界でのAngry Birdsのブームと比べると日本市場はそれほどでもないようにみえる。

 日本市場は、他国の企業にとって簡単な市場ではない。日本のゲーム開発やパブリッシャは高レベルで競争が激しく、文化のテイストも異なる。だが世界最大のモバイルゲーム市場であり、中国などと並んで我々にとっては重要な市場だ。日本の「LINE」、韓国の「カカオトーク」など、各市場の動きやトレンドに注目している。どうやってグローバルなポートフォリオを構築・拡大するか、日本でファンの心を掴むかを考えている。私は日本市場担当ではないので、これ以上のことは言えないが、正しいコンテンツやパートナー、そしてタイミングが大切だと思っている。

――中国ではAngry Birdsの人気はすごいが、日本ではなぜ中国ほど人気が出ていないのか。


バード

 中国ではAngry Birdsのブランドとキャラクタがよく受け入れられており、日本はそれに比べると劣るかもしれない。日本は地元のキャラクタが歴史的に強く、キャラクタ文化も長い。(Angry Birdsに限らず)国外のブランドやキャラクタが、世界では人気があっても日本ではそれほどでもないことは多いようだ。ひょっとするとバードやピギーが中国のコンシューマにはうまく共鳴したのかもしれない。日本では幸せそうなキャラクタが人気と聞いており、バードの顔が怒りすぎているのかもしれない(笑)。

――3年後、5年後のRovioはどのような企業になっているのか。また、そのときの競合は。

 エンターテインメント業界の強豪になっているだろう。Angry Birdsの映画化が成功し、2作目の準備に入っているかもしれない。その他のゲームも成功し、地理的にはアジアを含む全世界でRovioが送り込んだブランドやキャラクタが愛されているとよいなと思う。新しいフランチャイズを開発してグローバルなブームを起こしたい。教育など事業の拡大も進めたい。

 競合はどこから見るかによって異なるが、我々はそれほど気にしていない。大切なことはRovio、そして我々のファンやブランドにとって正しいことをすることだ。Rovioは長期的なフォーカスを持っており、100年企業のためのブランドを構築しているところだ。ビルディングブロックを積み上げていくことに専念している。

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