2013年のモバイル業界

木暮祐一が振り返る2013年のモバイル業界--「今さら」ではないドコモのiPhone販売 - (page 2)

――2013年はモバイル業界にとってどんな1年だったと考えていますか。

 iPhoneが主要3キャリアから取り扱われるようになったことで、通信事業者の選択基準にいよいよ変化が訪れてきたかなと思います。従来はサービスを前面に押し出してきた各通信事業者ですが、ソフトバンクの「接続率No.1」やKDDIの「800MHz LTE」のプロモーションに代表されるように、ネットワークの質を打ち出したものに変わっていきました。

 スマホ普及によって、どの通信事業者にも同じような端末が並ぶ時代になると、選択の基準は「通信品質」と「料金」になると言い続けてきましたが、いよいよそういう競争に突入です。今後は通信品質に見合った料金競争に突入するのでしょう。良いものを無理に安くしろとは言いません。通信速度や品質が限られているけれども安いというような選択肢があれば良いのかなと思います。SIMを扱うMVNOが増え、しかも多様なプランで攻めてきているのも大変興味深いです。

――2014年は「コレがくる」という端末やサービス、トレンドなどがあれば教えて下さい。

 スマホは周辺機器と通信して活用するというトレンドが一段と進行して行きそう。サムスンのGALAXY Gearのような腕時計型デバイスも今後のバリエーションに期待したいですし、Google Glassのようなメガネ型デバイスも、スマホと連携して便利に活用できる時代になるのでは。

 これら“身につけるデバイス”は、メールやメッセージの着信を知らせる機能も便利なのですが、スマホのエージェント機能によってユーザーの次の行動を予測し色々と情報を先出しで提示してくれるような使い方がメインになっていくかもしれません。

 Google Nowというサービスは現在ではスマホのディスプレイ上でこうした情報提示をしてくれるアプリとして便利に使えていますが、これはきっとGoogle Glassではキラーコンテンツになるのかなと思っています。同時に、“身につけるデバイス”は、ユーザーの生体情報や行動履歴を収集するツールとしても有用です。そうしたデータを活かしたコンテンツやサービスも充実するのでしょう。

木暮祐一(こぐれ ゆういち)

モバイル研究家、青森公立大学経営経済学部 准教授。1967年、東京都生まれ。1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチする。2000年に(株)アスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ同編集長。のち、モバイルコンテンツ業界を経て大学教員に転進。2013年、青森公立大学経営経済学部地域みらい学科准教授。モバイル業界動向、関連ビジネス動向、ユーザー利用動向などに関して著述や解説多数。現在インターネットニュースサイトRBB TODAYに「木暮祐一のモバイルウォッチ」を連載中。1000台を超えるケータイのコレクションも保有している。

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