自立したアーティスト活動の進め方講座 - (page 2)

矢野悠貴(ループス・コミュニケーションズ)2013年11月05日 08時00分

1) レーベルやプロダクションからエージェンシーと個人へ

 アーティストにとってのレーベルやプロダクションの存在は、“情報の伝わり方の変化”という点からもその意義は薄れてきている。つまり、限られたマスメディアの枠に情報を“露出”することがアーティストにとって大きな価値となっていた時代から、ソーシャルメディアをも含めて自ら発信し“コミュニケーション”していくことに価値が移ったことで、レーベルやプロダクションの持つ、資金や政治を含めた組織力を活用する意義が相対的に低下したという面がある。

 加えて、「コミュニティ・ソーシング」のような形態でアーティスト活動が進んでいくと、全ての業務を一括で行えるレーベルやプロダクションという存在以上に、より業務に専門性を持ち、アーティストが必要な機能ごとに契約を行えるスペシャリストのエージェンシーの有用性が高まるだろう。これまでレーベルやプロダクションが一括で請け負うことで、あるクオリティで多くのアーティストに同様な機能を提供はできたが、アーティストごとの細かな施策実施や、クオリティの追求という点では必ずしもスムーズにはいかない側面もあった。

 著作権をはじめとする法務的な対応、映像及び音源の製作、ウェブ製作、デジタルメディアの活用、マーケティングとプランニング、ライブ製作というような単位で契約できるエージェンシーの存在は、アーティストに価値をもたらす。

 また、プロフェッショナルなエージェンシーとともに、ノウハウやスキル、また資金面で支えてくれるノンプロフェッショナルな人材も重要な存在だ。

Kick StarterCampfireといったクラウドファンディングサービス、Pledge Musicなどアーティストとファンのマッチングサービスでは、まさに1つのプロジェクトとしてアーティスト活動が提案され、資金調達を行うことが可能だ。また、ARTIST CROWDサウンド制作のクラウドソース、そしてCyta.jpストリートアカデミーでは、個人のもつ専門的知識や技術に関するクラウドソースが実現されている。

 HIPHOPアーティストが、法務や経理、マーケティングを学んだ兄弟分を頼り、その活動を強固なものにしたように、アーティストがその活動に必要な知識やスキルをオンラインのマッチングサービスを活用して得ることで、音楽活動を強固なものにしていくことができるだろう。

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