Twitterが受けるInstagram台頭の影響--情報資産「Interest Graph」の価値は損なわれるか - (page 2)

Jennifer Van Grove (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2013年10月17日 07時30分

 提供開始から3年が経過し、1億5000万人のアクティブユーザーを抱えるまでになったInstagramは、Twitterのアクティブユーザー数の2億1800万人に急速に近づきつつある。Instagramは1月~9月の間に66%成長し、アクティブユーザー数を6000万人増やした。それは、2012年9月~2013年6月の間の9カ月におけるTwitterの成長率の2倍以上だ。

 InstagramがTwitterを上回るペースで成長していることは、一見したところでは、Twitterにとって重大な問題ではない。ソーシャルアプリの世界では、人々は複数のアプリを選択できるからだ。

Twitterの月間アクティブユーザー数。
Twitterの月間アクティブユーザー数。
提供:Twitter

 InstagramやSnapchat、Pinterest、Tumblr、WhatsAppなどが同時進行的に台頭し、その間もFacebookが規模と同社に対する注目を拡大させ続けてきたことは、多様性が私たちのソーシャルライフのスパイスになり得ることを証明している。

 GartnerのアナリストであるBrian Blau氏は、「人々はいつもアプリを急に使い始めたり、急に止めたりしている。あるときはInstagramユーザーかもしれないし、あるときはTwitterユーザーかもしれない。あるいは両方のソーシャルネットワークに献身的に参加している可能性もある。したがって、2つのサービスが相互排他的なものだとは思わない」と述べた。

 この問題は、広告が関わってくるまではユーザーには関係のないものだった。Instagramは数週間以内に米国のユーザーへの広告配信を開始する予定で、その広告配信はスポンサーが写真や動画をホームフィードに投稿するという形で行われる。TwitterとInstagramは広告収入をめぐって争うことになるだろうとBlau氏は述べた。

 Instagramが大きくなるにつれて、自分たちは比類なきサービスだというTwitterのうたい文句は説得力を失ってきている。Twitterはすでに、問題が存在することを明かしている。

 Twitterは2012年7月、Instagram上でTwitterの友達を探してフォローできるというInstagramの機能を無効にしたとき、「Twitterのフォローグラフデータに付随する価値は非常に大きいとわれわれは理解している」と述べた。Twitterは自らの保持する関係やグラフがライバルの手に渡ることを強く恐れたため、当時は極めて思い切ったものと見なされた行動に出た。

 Instagramが巨大化し、広告に支えられるようになったら、Twitterの最大の資産の価値が徐々に失われていくおそれがある。

 TwitterとInstagramは正にその理由から、親しく付き合ってはいない。実際のところ、両社に付き合いはまったくない。TwitterはS-1文書の中で次のように説明している。

 Twitterと写真を統合できるInstagramの機能をFacebookが無効にしたため、ツイート内でInstagramの写真を見ることができなくなった。Instagramの写真を閲覧したいユーザーはツイート内のリンクを通してInstagramにリダイレクトされるようになった。その結果、Twitterユーザーがツイートに含まれるInstagram写真へのリンクをクリックすることが少なくなる可能性がある。またInstagramユーザーがツイートを投稿することや、Twitterのアクティブユーザーであり続けることが減る可能性もある。今後、Twitterとの統合を排除する同様の措置がFacebookなどによって実施された場合、Twitterの事業や業績に悪影響が及ぶおそれがある。

 Twitterが部分的に守られている分野が1つあるとすれば、それはテレビだ。Twitterはテレビとの関係を強化することに全力で取り組んできた。同社は先頃、遠隔操作に関するComcastとの提携、およびNFLとの広告共有契約を開始した。特にComcastとの提携により、影響力のある人々が視聴率に直接影響を及ぼす仕組みについてのデータをほしがっている放送局やメディア企業にとって、Twitterが注目すべき存在となる道が開かれる。

 リアルタイム性でもTwitterは優位に立っている。FacebookとInstagramは、自らのサービスが時事問題やニュース速報といかに高い関連性を持っているかを私たちに宣伝するのが大好きだが、少なくとも人々の認識ということで言えば、Twitterが今のところは市場を支配している。しかし、広告主を一般ユーザーの会話の波に乗せるための市場がどれほどの規模なのかは未知数だ。

 あるいはBlau氏が言うように、「ある程度までは、Twitterとソーシャルは壮大な規模の実験」である。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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