グーグル「Chromecast」レビュー--機能を絞り込んだ35ドルの動画ストリーミング用デバイス - (page 4)

Matthew Moskovciak (CNET News) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子2013年08月06日 07時30分

Chromecastにできないこと

 35ドルでChromecastを入手した際の興奮からいったん覚めると、Chromecastができない多くのことに直面するはずだ。個人的なコンテンツ(携帯電話やタブレット、ノートPC上に保存されている写真や楽曲、動画ファイル)に対する(少なくとも公式な)サポートはないに等しい(非公式なものはある)。Android携帯に保存してある写真すら表示できないのにはイライラさせられる。また、Google自身による写真サービス「Picasa」からテレビに「キャスト」するといった機能もサポートされていない。

提供:Sarah Tew/CNET
提供:Sarah Tew/CNET

 「存在していない」専用アプリを書き出していくときりがないが、Amazon Instant VideoやHBO GO、Spotify、Rdio、MLB.TV、「Hulu Plus」といったものが最初に挙げられる。そして、あなたがおそらくはNetflixやYouTubeをストリーミングできるデバイスを既に(少なくとも)1台所有しているという事実を考えた場合、Chromecastで新たに可能になることはそう多くない。また、最近のスマートテレビの多くには、スマートフォンをリモコン代わりに使い、YouTubeやNetflixの視聴を行えるような機能が最初から搭載されているのは言うまでもない。

ChromecastはApple TVやRokuと競合できるのか?

 Chromecastの機能に関する制約を考えれば、その答えはノーとなるだろう。Apple TVとRoku 3はコンテンツも多く、柔軟性も高く、リビングルームでの日々の使用にもより適しているため、Chromecastよりも優れたデバイスであるのは間違いない。とは言うものの、3倍以上もの価格の開きを考えた場合、それは公正な比較とは言い難いだろう。

提供:Sarah Tew/CNET
提供:Sarah Tew/CNET

 Chromecastの真のライバルは「Roku LT」(50ドル)だ。どちらも2台目のテレビに最適であるものの、Roku LTはより多くのサービス(Amazon Instant VideoやHBO GO、Spotify、Time Warner Cable、MLB.TVを含む)をサポートしており、ユーザーインターフェースでも優れており、AndroidやiOSを搭載したデバイスからのコントロールも可能である。また、「Roku」というアプリを使えば携帯電話に保存されている写真や楽曲をキャストでき、「Plex」というアプリを使えばPC上に保存されている個人的なメディアファイルすらキャストできるようになる。Roku LTはコンパクトさという点ではChromecastに負けるものの、他の点ではことごとく優れているため、15ドル余計に支払う価値はある(Rokuには公式のYouTubeアプリがないものの、AndroidやiOSを搭載したデバイスに無償の「Twonky」アプリをインストールすれば、そこからRokuにYouTube動画をキャストできるようになる。こういったデバイスが必要となるのはChromecastでも同じであるため、それ自体はさほど問題とならないだろう)。

まとめ:35ドルという価格には見合う製品であり、Googleのエコシステムを愛用している人にとっては最適である

 しかし、既存製品とのこういった比較では、Chromecastが検討に値するものであるという点に十分な光が当てられていない。自らのAndroid携帯とGoogleのエコシステムを緊密に統合させることで、コンテンツの購入や保存を行いたいと考えている人々がそういったコンテンツをテレビで視聴しようとした場合、今まではバグのある「Google TV」か、驚くほど製品寿命の短かった「Nexus Q」というデバイスを使用するしかなかった。しかし、Chromecastを使用することで、大金をはたかずとも、Google MusicやGoogle Play Movies & TVのコンテンツをリビングルームのテレビにキャストできるようになるわけだ。

 こういった人々以外にとって、Chromecastのすべての魅力は価格に凝縮されるだろう。IT関係の新しいオモチャを探しているのであれば、この製品は35ドルという価格を考えれば悪くなく、旅のお供としては良いだろうが、リビングルーム専用のストリーミング用製品を探しているのであれば、Apple TVやRokuといった製品の方が満足できるはずだ。

 ストリーミングサービスのサポートが充実すれば、Chromecastはもっと魅力のある製品になるだろう。その日が来るまで、このデバイスの未来は開発者の手に委ねられている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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