運転者が1台の車を5年以上保有する場合に、購入後にその自動車のソフトウェアをごく少ない費用でアップグレードできれば、魅力的なセールスポイントになる。それぞれの自動車の機能や雰囲気をカスタマイズするためのさまざまなアプリを選ぶという考え方にも、独自の魅力がある。
全体的なレベルでは、センサを備えたコネクテッドカーが増えれば、より正確な運転データを集めることができ、道路情報サービスの改善や、交通事故減少を目指す政府の取り組みへの協力が可能になる。
Newcomb Communications and Consultingの自動車テクノロジコンサルタントであるDoug Newcomb氏は、「今始まりつつあるのは、自動車に対するわれわれの見方と使い方、そして個人向けの移動手段としての自動車の役割の大きな変化だ。そうした変化の大部分はテクノロジが原動力になっている」と語っている。
当然ながら高級車ブランドは、こうした動きの先頭に立っている。例えばMercedes-Benzは既に一部の車種で、Verizonのテクノロジを利用した同社の「Mbrace」システムを介して、Googleのローカル検索を使ったり、Yelp経由で近くのレストランを見つけたり、Facebookのニュースフィードを確認したり、ニュースや株価情報を入手したりできる機能を提供している。
しかしGMは2014年までに、同社のほとんどの車種に4G LTE接続を搭載することを約束しており、自動車用アプリは近いうちに大衆市場に広がる可能性がある。
コネクテッドカーアプリには2通りの考え方がある。アプリを自動車にダウンロードし、自動車独自のシステムによって動かすという内蔵型モデルと、アプリはスマートフォンやタブレットの中にあって、自動車のシステムと接続できるようになっているハイブリッド型モデルだ。
高い評価を得ているFordの「Sync」システムはハイブリッド型モデルの良い例で、「iPhone」上のアプリ「Pandora」から自動車へと音楽をストリーミングできる。
一方、GMは内蔵型モデルを積極的に支持しており、独自プラットフォームの開発者向けサポートを特に積極的に行っている。1月に開催されたConsumer Electronics Showでは、GMはAT&Tとともに、コネクテッドカー向けアプリを開発するハッカソンのスポンサーとなった。GMは5月の時点で1800人の開発者が登録していると米CNETに語った。
GMのグローバルコネクテッドコンシューマー部門を率いるMary Chan氏が想定しているのは、自動車にダウンロードできるナビゲーションやラジオ、自動車診断などのアプリだ。運転者の注意が散漫になったり、安全面で問題を引き起こしたりしないように、人気のスマートフォン向けアプリを自動車向けに手直しすることは自動車メーカーにとって重要だと同氏は語った。例えばGMは「Siri」を搭載するためにAppleと協力した際に、運転者の気を散らすとして機能のいくつかを削除している。
Chan氏は5月に行われた米CNETによるインタビューで、「内蔵型テクノロジは、ユーザーエクスペリエンスをシンプルにするのに役立つ」と語っている。
しかし内蔵型モデルという選択肢は、ほとんどのアプリケーションにとっては不必要だと考える人もいる。
Strategy AnalyticsのアナリストであるRoger Lanctot氏は「そのモデルは間違いだ」と言う。
人々は自分が気に入っているスマートフォンアプリを自動車でも使えるようにするために、もう1度料金を払おうとは思わない。これは一部のアプリがスマートフォンとタブレットで現在直面しているのと同じ問題だとLanctot氏は語る。そして人々は自動車内で長い時間を過ごしながらも、スマートフォンを使う時間はさらに長く、依存の度合いも高いため、スマートフォンはアプリを格納する場所として理にかなっている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する