注目を集めるフレキシブルスマートフォン--商品化までの課題と今後の可能性 - (page 4)

Jessica Dolcourt (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2013年03月20日 07時45分

 Rolston氏は、「携帯電話を丸めたり、広げたりすることは、携帯電話の本来の使い方に反する」と付け加え、人々はポケットからデバイスを取り出してすぐに使いたいと考える、と述べた。

 世界にフレキシブルな携帯電話やデバイスの居場所はあるかもしれない。しかし、それらが登場するのは、ガラスやそのほかの部品を折り曲げる技術が「真に成熟」してからのことになるだろう、とRolston氏は考える。

 CorningのChowdhury氏も同じ考えである。その理由の1つは、ベンダーが自らの求めるものをまだ絞り切れていないことだ。「われわれは当社のガラスを商品化しようとしている」と同氏は述べた。そして、完全に機能するデバイスに関して言えば、「『フレキシブル』が何を意味するのかについて、合意された定義がない」(同氏)。そうした確固たる定義がなければ、ベンダーが自分たちのデザインしたフレキシブル携帯電話から利益を上げる計画を立てるのも難しくなる。

 折り曲げるという目的のために折り曲げるのではなく、ガラス担当幹部とマーケティング担当幹部の両者は、それらのフレキシブルな筐体やスクリーンの商業的利用が始まる前に、まず変形可能なスクリーン向けに幅広い用途が発見されると予想する。あらかじめ成形されたガラス構造は、テレビや携帯電話、ほぼすべてのプログラマブルスクリーンに搭載される大半のパネルを構成する、まっすぐで薄型の長方形以外の可能性を提示する。そして、有機的な形状や外形を持つディスプレイには多くの使い道がある。それは、オフィスの壁の一部になる未来的なコンピュータかもしれないし、ドライブ中に地図を表示するようにプログラムできる自動車のフロントガラスかもしれない。

 Rolston氏とChowdhury氏の間に、われわれが近い将来、さまざまな業界から期待できる例がほかにもたくさんある。その一部は既に芽を出し始めている。

  • デバイスや展示会ブース向けの巻き付ける形状のスクリーン
  • 腕時計や家電製品のようなスポーツアクセサリ向けの湾曲ディスプレイ
  • 自動車のダッシュボードに設置できるように成形されたディスプレイ
  • 測定結果を表示する玩具やサーモスタット、道具
  • 屋根に広げることができるソーラーパネル用のフレキシブルな太陽電池

 これらのアイデアは、今日ではそれほど普及していないかもしれないが、新しいものではない。Frog Designは2008年、Hewlett-Packard(HP)のために巻き付ける形状のスクリーンのプロトタイプデザインを作成した、とRolston氏は述べた。同氏によると、それは情報を伝えるというよりも、装飾用のものだったが、この謎に包まれたデバイスの側面は、未発表のプロジェクトの形状に欠かせないものになったという。

 Rolston氏は、一例として、自動車のダッシュボードに話を常に戻す。同氏は、形が整えられた自動車のダッシュボードの美学を追究した「人間的」な形状について、デザイナーが施していること、そして金属と木材、カーボンファイバーを使って豪華な仕上がりにするためにデザイナーが注いでいる努力について、愛らしく詩的に語る。

 「われわれがそうした作業を行っている最中に、スクリーンを設置するために8インチ(約20.3cm)の長方形の穴を開けることが増えている。もし穴を開ける代わりに、そのスクリーンを素材の一部にすることができたら、自動車の視覚的言語の一部にすることができたら、それは素晴らしいことだ」と、Rolston氏は嘆く。

 「そうなったら、すごくクールなことだろう」(同氏)

 そして、おそらくそれは、折り曲げ可能なスクリーンが現在の開発段階でわれわれに教えることができる最大の教訓なのだろう。クールになるためには、フレキシブルでなければならない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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