思い出してほしいのは、これらは現時点でMechanical Turkのサイトに表示されていた1842件のタスクの中で、最も報酬の良い仕事だということだ。報酬が最も少ない仕事は作業者としてログインしなければ見ることができなかったが、筆者が見ることのできた報酬が最も少ない仕事は、「4分の音声クリップを書き起こす作業」が最大1.69ドルというものだった。
Twitterは、選り抜かれた人間の評価者にはそれ以上の額を支払うかもしれないし、同社の仕事をMechanical Turkのサイトそのものには掲載しない可能性もある。少なくとも一般大衆が見られるようなところには載せないだろう。さらに同社は、そうした人間の評価者たちを、1つの幸せな大家族に見立てたいようだ。
例えばChen氏とJain氏は、このプロジェクトのスタートを祝うために、Mechanical Turkの作業者に「歌う電報(電報の代わりに歌手が歌でメッセージを伝えるサービス)をクラウドソースした」と書いており、それを「われわれの作業者が提供する高いクオリティ」の例だとしている。そしてこれがJain氏自身に対する良く作られた賛辞であるのは確かだ。ただしそこでは、Mechanical Turkの作業者が彼らの時間と労力に対する報酬を受け取っているのかどうかについては触れられていない。
念のために言っておくと、筆者はTwitterに、このリアルタイム・ヒューマン・コンピューテーション・システムには広告の精度を向上させること以上の目的があるのかどうかと質問した。広報担当者は電子メールで次のように回答した。
現時点では、このプロジェクトがブログ記事に書かれた内容以上のさらなる利益をもたらすことはない。しかし、先に書いたとおり、われわれは包括的ヒューマンコンピューテーションシステムをほかの目的に使っている。
ここで言及されている「包括的ヒューマンコンピューテーションシステム」というのは、次のようなことだ。
われわれはヒューマンコンピューテーションシステムをしばらく前から、検索アルゴリズムのパフォーマンスの測定など、さまざまな目的のために使ってきた。時間の経過とともに、われわれの包括的ヒューマンコンピューテーションシステムはかなりの進化を遂げた。
われわれはごく最近、今回のシステムを立ち上げた。これには、検索クエリについての追加情報をリアルタイムで提供してくれる人々が関係している。
現時点ではっきりしていないのは、Twitterがこのシステムでほかに何をするのかということだ。ReadWriteのJon Mitchell氏は興味深い推測として、Twitterはニュースサイトを事実上時代遅れにする方法を考案したのではないかと述べている。なぜならTwitterは、話題のニュースへの関心の急増を察知して、リアルタイムで生成される関連性の高いニュースページに直結させるということを、人間の編集者よりもはるかに素早く行えるからだ。
これは少なくともニュース記事編集者の立場からすれば、不安にはなるが、あまりにもっともらし過ぎる予想だ。とは言っても、公式発表やほかの公開イベントに基づくニュース速報はこの数年間で一般化してきているため、完全自動化(あるいは半自動化)は、次のステップとしては必然かもしれない。
しかし心配に思っているのは、現実のニュース業界にいるわれわれだけではないはずだ。Googleもまた、Twitterのリアルタイムの「firehose」と競争するために、Google Newsや、より新しいリアルタイムサービス(「Google+」からのデータを使って、同じような機能を提供するのだろう)をアップデートすることにかかりきりになるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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