以前企業は、20世紀の「旧態依然の調達システム」を利用して、入札した企業の中から費用対効果が最も高い企業をサプライヤーとして選んでいました。このシステムは、社内に生産システムを持たない縦割り企業にとっては都合のよいものでした。多様性のあるサプライヤー、つまりMBEは、重要性の低い末端の取引を少しでも得ることが出来れば、ラッキーだと思っていました。
しかし、21世紀に入ると、かつてはアメリカ市場を中心に売り込んでいた多国籍企業の多くが、社内生産を補うために注文するのではなく、「部分的アウトソーシング」を行うグローバル企業になりました。供給ネットワークに多様性が欲しいと思っている企業は今、節約や経費削減、低費用・高効果を追求することから、バリュー・チェーンを発展させることに切り替えなければなりません。
企業のバリュー・チェーンになんらかの改善がなされれば、その企業の競争力は高まります。特に、人口が変化し、「バリュー・チェーンのパートナー」の大部分をMBEが占めるようになる未来において、競争力を高めることができます。
企業がサプライヤーに多様性を持たせたいと思うには、様々な理由があります。例えば、多様性を企業の価値や法的要件、広報活動における重要なポイントだと見なしている場合があります。より便利な調達モデルを使って供給チェーンに多様性を持たせる取り組みは、なんらかの好ましい短期的結果をもたらしてくれるかもしれませんが、長い目で見れば顧客もベンダーも満足させることはできません。
それどころか、小規模企業は、儲けの大きい契約を獲得するために生産力を過剰に拡大し、それによって経済的痛手を被り、規模の小さい常連客を失ってしまう恐れもあります。また、新しいグローバル経済の中では、従来の調達手法を使ってサプライヤーを選ぶ企業は、サプライヤーが競合相手になるかもしれないという競争の脅威にさらされます。そうではなく、将来のことを考えられる企業は、自分達の優先事項とニーズにマッチした様々な特徴に基づいて、サプライヤーを選ぶべきです。
企業が相互の利益のためにMBEの強みを伸ばす体制の中でMBEサプライヤーとパートナーシップを結べば、両企業とも、互いに成功するよう助け合うことで個々の利益に貢献することができます。
バリューチェーンを発展させることの原型は、ものつくり国家、日本にあるように思いました。これからアメリカの人口は、マイノリティな人々が比重を占めていくと予測されるため、大企業だけに好都合なソリューションシステムよりも、優秀なアウトソーシング先を数多く持つことに価値があるということです。
特にMBEや中小企業が成功するポイントは、有益なサプライヤーをしっかりと選ぶことにあります。それに伴い、会計数値を読み解く力や経営戦略を考察する力も際立って必要とされてくるでしょう。
非政府支援組織は、MBEの社会包摂を促進することを目的とした様々なプログラムやサービスを提供しています。そういった協議会、センター、商工会議所、組合、円卓会議、同盟、集会、総会、提携は、1960年代と70年代に起こった公民権運動の後に、MBEが力を得る手助けをしました。しかし、その後も引き続き大きな影響を与え続けているものはほとんどありません。
また、深く根付いた経済的差別の撤廃や、MBEの主流のバリュー・チェーンにおける平等な立場の獲得の促進には至っていません。支援組織は、理事会を強化し、MBEの社会包摂を促進する4つの分野に力を入れることで、MBEを支援するための戦略的、財政的、および経営上の能力を高める必要があります。4つの分野とは次の通りです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境