実行段階に入ったAmebaの「デカグラフ」構想--スマホに集中する藤田氏の勝算 - (page 2)

岩本有平 (編集部)2012年04月24日 11時00分

 新プラットフォームでは、外部のアカウントと連携することで、AmebaのIDを取得する必要がなくなります。登録時の必須項目はニックネームと性別、居住地のみです。もちろんブログや既存サービスの利用にはAmebaのIDが必要です。今後提供するサービスでは、(新しい)Amebaのアカウントだけあればいい。我々はスマートフォンで勝負していきます。その場合、独自にIDとパスワードを取らせるという戦略はないと判断しました。

--フィーチャーフォンは捨て、スマートフォンにリソースを集中させるということですか。

 フィーチャーフォンでは、二番煎じどころか三番煎じ、四番煎じになります。オープン化するとは言え、勝てるはずはありません。

 一方でスマートフォンの伸びはすごいものがあります。Amebaでも、すでにスマートフォンからのアクセスは月間60億PVを超えており、今月には70億PVに達する見込みです。この数字はすでにフィーチャーフォンを抜いています。

--提供予定のスマートフォン向けサービスを見ると、ゲームよりコミュニケーションに特化したものが多いようです。

 我々の戦略は、「ゲームの品ぞろえ」ではありません。まずは「コミュニティありき」です。とにかくデカグラフの構築に注力します。収益を上げるのはそのあとだと考えています。

 MobageやGREEが競合だとすれば、今更同じことをやっても勝てません。一方で、彼らがゲームに注力することでやらなくなったコミュニケーションを我々はやります。スマートフォンのユーザーはコミュニティに飢えているのではないでしょうか。

 しかし、最後の落としどころはゲームになります。とはいえ、これも最初から外部のゲーム開発会社に頼る発想はありません。オープン化のタイミングでゲームタイトルは十数タイトル並ぶ予定ですが、ある程度は自力でやらないと厳しいと考えています。

 また、ゲームの品ぞろえや、ゲーム開発会社への営業、テレビコマーシャルなどをとっても、このタイミングでは勝てるはずはないと考えています。ではテレビに出ないでどう集客するか? その1つの方法がコミュニティだと考えています。それと同時に、我々の強みである芸能人との連携も積極的に行います。

--アメーバピグはFlashベースのサービスです。これはどうしていくのでしょうか。

 PC版のピグに関しては、今後もFlashで提供していきます。PC版では現在、「ピグチャンネル」という動画共有機能もベータ版として展開しています。これは複数のピグユーザーで1つの動画を共有して視聴するサービスになります。

  • ベータ版として提供中の「ピグチャンネル」

 スマートフォンに関しては、ピグと連動するサービスを展開していきます。育成ゲームの「ピグライフ」も現在HTML5で作り直しています。

--藤田社長は現在、社長業よりプロデューサー業に集中していると聞きます。

 現在は9割がプロデューサー業をしています。例えば「シャークアイポイントシステム」と呼ぶ制度を作り、毎週すべてのサービスを厳しく評価しており、一定の点数以下のサービスについてはリリースさせないといった取り組みもしています。

 プロデューサー業はやればやるほどノウハウが蓄積するので、誰も代わりに見られる人がいない状況です。

 現在Amebaのスマートフォン向けサービスは、1チームで多くて10人程度の規模。全体で300人程度の規模になると思います。

--このまま社長職から退き、プロデューサー業に専念する可能性もあるのでしょうか。

 さすがにそれはありません(笑)。ですが、Instagramの買収額を見ても、グリーの「探検ドリランド」の売上を見ても、収益化する1つのサービスを作るほうが価値が上がる時代になってきました。会社が一番儲かりそうなところに自分という経営資源を投下しているということです。

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