「日経ビジネス」がスマホ版を開始--日経新聞と競合の可能性も

岩本有平 (編集部)2011年12月20日 11時32分
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 日経BPは12月19日、同社の主力ビジネス誌「日経ビジネス」のスマートフォン版「日経ビジネスDigital」を開始した。雑誌定期購読者は月額500円、スマートフォン版のみを購読する場合は雑誌の年間購読料と同額の年間2万3000円となる。2012年1月末までは無料キャンペーンも展開。会員登録をすれば、最新記事と10月3日号以降の日経ビジネスが無料で閲覧できる。さらに2月以降はクレジットカード番号の入力で無料期間が1カ月延長される。正式な課金は3月から始まる予定だ。

 日経ビジネスDigitalはアプリの形態を取らず、HTML5を採用したブラウザベースのサービスとなる。日経ビジネスの発売日は毎週月曜日だが、その前週の水曜日からニュースや海外提携翻訳記事などを日替わりで配信する。日経BPが発行するその他の雑誌の記事も配信していく予定だ。

 日経BPの親会社に当たる日本経済新聞社は2010年3月から有料のニュースサイト「日本経済新聞電子版」を開始している。日本経済新聞電子版は現在、PC版に加えて、iPhoneアプリやAndroidアプリも提供するなど、先行してデジタル戦略を取っている。無料も含めた会員数は120万人超、有料会員は17万人とも言われる。

 iPhoneアプリに関しては、米アップルがApp Storeで提供するアプリ内課金のシステムを通さず、自社でクレジット決済を行っている。業界関係者からは、例外を認めたくない米アップル側と、課金手数料を支払いたくない日本経済新聞社の間では水面下で今なお交渉が続けられているとも聞こえてくる。

 英経済誌「Financial Times」は6月にiPhoneアプリとは別にスマートフォン向けのHTML5版「FT WebApp」を開始している。これは、アップルのアプリ内課金回避や、OS単位での開発を減らすことによる開発コスト削減の狙いもあると言われている。日本経済新聞社でも、7月からHTML5版の電子版「日本経済新聞SP beta」を開始。日経BPもこれにならったようだ。

 ただし、日本経済新聞がPCサイトの有料化ありきでデジタル化戦略を進めたのに対し、日経BPはスマートフォンに特化した有料化戦略を取るなど、戦略に違いがある。また、現在、日本経済新聞社電子版には日経BPが発行する専門誌が記事を提供しているが、日経BPでは2012年4月以降、日経エレクトロニクス、日経コンピュータ、日経パソコン、日経アーキテクチュア、日経ドラッグインフォメーションのデジタル版を次々に立ち上げていく計画を発表している。両者の戦略次第では、「グループ内のコンテンツの競合も避けられない可能性がある」(業界関係者)との声もある。

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