グローバルICTへの転換点を探る--主要IT系メディアの代表が討論(後編) - (page 3)

利益を出せるITを主張しクラウド活用でスピード経営を支援

 また、アスキー・メディアワークス TECH.ASCII.jp編集長の大谷イビサ氏は経営者に分かるようなレポートを作成する機能が充実している海外のIT製品を例に挙げて次のように話す。

 「インフラ構築関連の製品でも、レポート機能が非常にレベルアップしている。技術者向けのレポート機能だけではなく、サービスの利用率がこれくらいだから、収益はここまではきている、といった経営者向けのレポートができる。こうした機能は欧米だけでなく、日本のユーザーにも役に立つはずだ」

 ここで舘野氏はクラウドの活用は大いに効果が期待できるのではないかと指摘する。広いロケーションを連携させるグローバルなICT活用はクラウドとは密接な関係となる。

 大谷氏は東日本大震災以降、そしてグローバル化を進める企業の動向などを見た上で、クラウドの活用が一気に進みつつあるとする。

 「オンプレミスでいろいろなシステム構築をする時間的余裕はもうない、というケースが増えている。今後はクラウドとクラウドをつなげていく手法なども一般的になっていくのではないか」

公開討論に場を移し、議論をさらに深掘りへ

 ここまでの議論を振り返ると、グローバル化の質的変化が日本企業に突きつける課題は、もともと日本企業が包含してきた情報戦略上の課題(ガバナンスやICT、経営とCIOとの距離など)を鮮明にするものだといえるだろう。「海外に出ることだけがグローバル化ではない」と別井が語るように、さまざまなテクノロジーを利用して合理的でなおかつ利益を生み出すICTがいまこそ求められており、それを支えるICTパートナーが必要とされているのだ。

 前編に引き続き今回の後編で述べてきた主要IT系メディアの代表の多岐にわたる討論は、さる10月28日に同じメンバーで「グローバルICT討論会」という形で引き継がれた。「NTT Communications Forum 2011」のイベント会場の一角でおこなわれた討論は多くの聴衆を集め、90分にわたって続けられた。

 テーマは、「東日本大震災を受けて企業のICT戦略はどう変ったか」「グローバルICTガバナンスのあるべき姿とはどのようなものか」「グローバル時代におけるクラウドの価値とは」「変わりゆくICTパートナーの条件」という4つ。ここまで煮詰めてきた話題をさらに深く掘り下げた討論となった。

 また、ITRから独自のユーザー企業に対するアンケート調査結果が開示され、テーマに沿った具体的な事例についてもさらに新しいものが出席者から紹介された。

 そちらの模様も近々レポートとしてご紹介するので是非ご期待いただきたい。

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