--CS 5.5からは、月額ベースでライセンスを利用できるサブスクリプションモデルも提供されるが、その価格の根拠と、ターゲットとするユーザー層は何か。
サブスクリプション価格については、グローバルなチームが調査を行って決定したものだ。ターゲットとなるのは、まず、ビジネスの基幹ツールとしてCSを利用していない個人や、ライトユーザーがある。また、過去のバージョンの機能に不足を感じていなかっため、アップグレード権を失っているユーザーが、一時的に最新の機能を必要とするケースが起きた場合には、サブスクリプションライセンスのほうが、大きなコストメリットがある。
--Adobe Digital Publishing Suite(ADPS)について。発表からまだ間もないが、日本での顧客の反応はどうか。
現在、大手の出版社に加え、凸版印刷や大日本印刷といった企業にも興味を持ってもらっており、交渉中のところも多い。三栄書房の「ゴルフトゥデイ」や、山と渓谷社の「Hutte」といった、ADPSの実際の先行事例もスタートしている。
また、顧客と話をしていく中で、商業ベースの電子雑誌だけではなく、ニュースレターや社内報、製品カタログといった、企業のコミュニケーションツールをデジタル化したいというニーズも多いことが分かってきた。こうしたコンテンツのデジタル化にも市場機会があると感じている。
--ADPSの現在のライセンスモデルは、大規模な商業ベースを想定しており、少部数の企業向けコミュニケーションには使いづらいと感じるが。
たしかに、現在は商業ベースのモデルを基準にして、紙とデジタルの双方を手がけるユーザーが利用し、発行数が多くなるほどメリットのある価格体系を採用している。
しかし、電子出版は新しい市場であり、ADPSもまったく新しいサービスだ。今後、ユーザーと意見を交換しながら、サービスや価格設定の最適化に取り組みたい。
--アドビは近年、自社のテクノロジやビジネスモデルを表現するにあたり「エンゲージメント(関わり)」という言葉を多用していた。3月の震災で、今後あらゆる面で日本人の情報への関わり方が変わると思われる。アドビは、日本市場に対してどう取り組んでいこうと考えているか。
今回の震災で変化した側面のひとつに、ユーザーがどこにいても求めるコンテンツにアクセスできることの必要性が再認識されたということがある。
これにより、テレコミュート(在宅勤務)やウェブ会議といった、従来の日本のビジネス慣習にはなじみにくかったスタイルも、急速に検討が進められている。アドビにはLiveCycleやConnectといった、そうしたニーズに対応するための技術と製品がある。
アドビとしては、こうしたビジネスコミュニケーションに加え、事業継続や教育といった観点でも、ユーザーの環境や使っているデバイスに関わらず「良いユーザー体験」を介してユーザーがコンテンツにアクセスできるような環境を構築するための支援ができると思っている。
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