auの「LISMO!」が5周年--スマホ時代への次なる一手 - (page 2)

--LISMO!のサービス開始から5年が経ちしたが、市場や環境など変化したと感じることはありますか。

 LISMO!はauのビジネスを盛り上げるサービスでもあるので、auの環境には非常に大きく左右されます。そういう意味ではスマートフォンの登場は大きかったですね。従来の携帯電話は本体のボタンを押すだけで、auの「EZweb」やNTTドコモの「iモード」など、自社ポータルへ誘導できたので、自分たちのサービスを押し出しやすい環境がありました。また、これまでは携帯端末の買い換えサイクルも早かったのでサービスの進化という面でもやりやすかった。

 一方のスマートフォンはオープンな環境であるため、顧客を引き込むためのポータルサイトのパワーはなくなってきていると感じています。KDDIとしてもスマートフォンが普及していく中で、どれだけLISMO!に顧客を集められるかという施策に加え、オープンな時代に向けてのサービス展開についても考えています。

--スマートフォンの普及に合わせて、競合となる音楽サービスも増えてくるかと思いますが。

 スマートフォン向けにサービス展開するにあたって、LISMO!をauというプラットフォームの中だけで提供し続けるべきなのか、という思いもあります。ですが、もしオープンになったとしても「やっぱりLISMO!がいいね」と言われなければいけない。そこで他社との差別化という意味で重要になるのが、顧客との接触時間が最も長い音楽プレーヤーや書籍のビューワだと考えています。

 実は著作権を守りながらコンテンツを表示するプレーヤーやビューワの開発というのは結構大変で、動作も重くなりがちです。それでも、違法なコンテンツを取り扱うフリーのプレーヤーよりも圧倒的にいいものを作らなければならないと思っています。すでにスマートフォン向けにもLISMO!のプレーヤーを提供していますが、まだまだ改良点は多く、現在も開発を続けている状況です。

 また、現在は携帯端末をPCと接続しないと利用できないサービスもあるので、“クラウドミュージック”のような、クラウド上でのサービス提供についても並行して進めていきたいと考えています。

--最後にLISMO!の今後の展開について教えて下さい。

 やはりLISMO!で最も流通していくコンテンツは音楽だと考えています。そこで現在はストリーミングを強化していて、その第1弾がLISMO WAVEです。今後は、Wi-Fiを利用した音楽映像配信サービスも提供する予定です。

 またKDDIは、台湾で音楽聴き放題サービスを提供しているKKBOXに出資しています。この意図としては、東アジア全体の市場を見据えて、海外展開するためのプラットフォームを構築したいという思いがありますが、KKBOXが提供しているスピード感のあるサービスや技術を日本へ移植して展開することも考えています。そうなった場合、サービスはストリーミングで提供することになると思います。先ほどお話したように、プレーヤーは作り込みが大変ですが、ストリーミングならそこまで端末側に手を入れずにアプリベースでの開発が可能です。またネットワーク環境も良くなっているため、違和感なくすぐにコンテンツを再生できると思います。今後はこのあたりを徹底的に強化していきたいですね。

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