米国では、支配的な企業に求められるデータ共有の基準ははるかに緩い。Hovenkamp氏は、「今回の申し立てを米国で行うのは極めて困難だ」と述べている。それらの基準を定めるのは連邦規制当局であって、より広範な独占禁止法ではないからだ。「コンピュータ業界やインターネットに関して、そうした機関や取引上の義務は存在しない」(Hovenkamp氏)
MicrosoftはGoogleに支配的な企業というレッテルを貼ることにも、欧州では苦労しないだろう。欧州法は支配的な企業のビジネス慣行に対して基準を厳格化するため、このことは重要だ。欧州の競争法に関連する最も根源的な判例の1つである「Michelin対EC」では、支配的な企業は「自らの行為が共同市場の競争を損なわないようにする特別な責任」を負っているとされる。
「企業の市場シェアがこの割合を超えたら支配的と判断する」という基準を定めた法令は、欧州法にも米国にも存在しない。しかし、Hovenkamp氏によると、欧州規制当局は一般的に、明確な市場における企業のシェアが60%に達した時点で、その企業を支配的と見なしてきたという。米国では通常、75%がその基準だ。このことは重要である。というのも、NetApplications.comによれば、Googleの検索市場におけるシェアは欧州では95%なのに対し、米国では75%だからだ。
さらに、米国の独占禁止当局はこれまで、Googleが独占禁止法に抵触するおそれのある投資や買収を行った場合にのみ、同社を調査してきた。米司法省も米連邦取引委員会(FTC)もGoogleの行為に関して、広範な調査に乗り出したことはない(本稿執筆時点)。Googleよりも規模の小さいライバル企業の一部は、規制当局が正式な調査に乗り出していない理由として、Obama政権とのなれ合いを示唆している。Obama大統領は2011年の一般教書演説の中で、米国の革新の象徴としてGoogleの名前を挙げていた。
もしMicrosoftが欧州規制当局の説得に成功し、Googleに欧州でのデータ共有を強制することができたら、米国での調査の重要度は低くなる。なぜなら、Microsoftは欧州の規制当局がGoogleから引き出したあらゆる情報を利用して、同社とグローバルな競争を展開できるようになるからだ。それは米国において特に重要なことである。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス