NECのITサービス事業戦略、成長のカギは「クラウド」と「グローバル」 - (page 2)

 「2009年4月に、他社に先駆けてクラウド指向サービスプラットフォームソリューションを発表した。発表時には42本だったサービスメニューは、110本にまで拡大している。ここには、NECの経営システム改革の実践ノウハウを反映している。また2009年10月に開設したNECクラウドプラザは、開設からの累計で550社1700人が来場した。各業種ごとに幅広くサービスを用意しており、さらに将来に向けて品ぞろえを強化していく」とした。

 同社では、クラウドサービス事業における注力領域として、「基幹業務領域」「新たなビジネスの創造」「中堅・中小企業向けの幅広い業種・業務アプリケーションのワンストップ」の3つを挙げる。合わせて、「付加価値が高く、NECのSI力が生かせる業務アプリケーション領域のクラウドサービスに注力する。SaaS型、共同センター型、個別対応型の3つの提供モデルを用意するとともに、IaaSやPaaSもプライベート型クラウドとして提供し、ライフサイクル全般をサポートする」とした。

 「クラウドビジネスは、接点デバイス・端末からサービスまでのITおよびネットワークの技術を活用した総合力の戦いである。クラウドが適用できる市場は全体の15〜20%であり、既存システムとの連動も重要なものになる」(富山氏)

 クラウドサービス事業の体制としては、NECグループ全体で2012年度には1万1000人のSE体制とし、そのうち中核要員として2000人を育成する。また、クラウドサービスの企画・開発などを行うクラウド戦略室を10月1日付けで50人体制で新設しており、各事業部門に配置した350人のクラウド担当者との連携強化を図っていく。

 さらに、営業体制としては、業種別サービス・ソリューション事業部門と営業部門が連携したクラウド拡販チームによる受注活動を展開。パートナー支援として、NEC SaaSパートナープログラムをNECネクサソリューションズと200人体制で運営し、パートナーのSaaS事業の早期立ち上げ、開発・拡販を支援するという。

 DCサービスについては、現在、国内約50か所のデータセンターのうち、主力となる10カ所のデータセンターに対して、クラウドサービス対応の投資を集中する考えを明らかにした。

 グローバル展開に関しては、既存事業においてはパブリックセーフティや民需ローカル企業への対応を継続的に拡大するほか、公共、医療/ヘルスケア、キャリア、デジタルサイネージなどの得意なソリューションを活用した新規顧客の開拓に取り組む。「現在、32の国と地域に事業を展開しているが、特に中華圏やAPACといった地域に力を注ぐ」という。

 CODC事業の5極展開としては、8月に日電東軟新息技術有限公司を中国・上海に設立。「中国を皮切りにAPAC、EMEA、北米へと展開していく。現地ソリューション体制の強化とCODC事業との組み合わせによって、これまでの日本発の展開モデルである『線』のサービスから、現地発ソリューションの展開モデルによる『面』のサービスへと発展させることができる」という。

 一方、ITサービス事業の7割を占めるSI事業においては、収益性の向上に取り組む。2008年度以降取り組んできた「攻めのSI革新」において、2003年度比で不採算プロジェクトを半減、SI原価を10%強低減したことを示し、「2010年度はSI事業のイノベーションに取り組み、次世代開発環境のソフトウェアファクトリーの導入、SI革新成果のグローバル/サービス事業への展開を行う」とした。

 ソフトウェアファクトリーは、開発の標準化と経営者までを含めたプロジェクト状況の見える化をクラウド環境で実現するもので、2012年度までにNECグループで1万人以上が活用する予定となっている。自動化、手戻り防止、経費効率化などにより、工期で30%短縮、原価で20%の低減を目指すとした。

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