SNS以外のネット株の決算も好調だった。7月27日に2011年3月期第1四半期(4〜6月)決算を発表したヤフーは、グーグルとの検索エンジン事業での提携に話題が集中してしまったが決算内容は堅調。ネット広告ではセプテーニ・ホールディングスなど代理店の回復基調も確認された。Eコマースでは楽天が市場予想通りの成長を続け、衣料品専門のスタートトゥデイも4〜6月は利益倍化。連結経常利益は前年同期比110.0%増となり、マザーズ市場トップの時価総額を誇る企業として堂々たる決算を示した。
今回の決算シーズンは為替の円高懸念があったものの、東証1部の製造業でも好調なものが目立った。インターネットサービスセクターはその中でも高い成長率が目立っている。ただ、好実態に対して株価は軟調。サイバーエージェントやミクシィが上場するマザーズ指数は7月末にかけて戻りを試す展開となっていたが、サイバーエージェントなどの好決算を受けて以降、下げ基調入り。8月12日には5月25日に付けていた年初来の安値371ポイントを割り込んでしまった。為替の円高による輸出型企業の収益悪化が懸念されていた時期だが、日経平均株価は同日、ギリギリで安値更新を回避しており、連動して売られていたはずの新興市場の弱さだけが目立ってしまっている。
サイバーエージェントの2010年9月期第3四半期(2009年10月〜2010年6月)決算は連結売上高こそ前年同期比0.2%増の702億6900万円と横ばいだったが、経常利益は151.1%増の70億3100万円。高い利益成長を示したが、株価はこの決算をきっかけに売り先行。決算を期待する形で発表直前まで買われていた反動が出たとみられていたが、そのまま下げ続けて年初来安値を更新してしまった。結果的に株式市場はサイバーエージェントの利益増を売り材料と判断してしまった。
東京市場全般が為替や海外情勢の悪影響を懸念して軟調に推移。ネット株の業績はそれらの影響を受けにくいが、投資家心理は大きく悪化している。市場では新興市場の主力銘柄に一部ファンドによる見切り的な売りが出たとの観測もあった。どちらにしろ、ここまでは業績云々ではない相場状況となっていることだけは間違いない。ただ、為替市場とともに東京市場全般が落ち着きを取り戻せば、真っ先に狙われると考えられるのは業績絶好調で値動きも軽いネット株。虎視眈々(たんたん)と安値圏で推移するネット株の仕込み時期を探っている投資家も多いことだろう。
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