Jobs氏はWWDCで開発者に対し、Appleは現時点で計10億ドルを開発者に支払っていると話した。これは、開発者に勝ち組の側に留まるよう促すJobs氏流の言い方である。しかしJobs氏は、Appleが「iAd」によって開発者がさらに利益を得られるようにしていることを明かし、開発者の境遇がさらに良くなる可能性も暗に認めた。
iAdの評価はまだ確定していない。iAdはほんの2週間前、「iOS 4」モバイルOSを搭載するデバイス向けに公開された。iAdはアプリケーション内に埋め込まれる高度なインタラクティブ広告で、厳格に管理される。iAdでは広告をクリックしても、アプリケーションから離れる必要がないため、iAdはユーザーに許容されるだろう、とAppleは考えている。同社はまた、iAdはSDKに直接組み込まれているため、開発者もiAdを熱心に利用するだろうと期待している。
しかし、開発者に対して愛想良く振る舞うこと以外に、iAdには、アプリケーションに関するAppleの最大のライバルに対する防衛手段としての側面もある。開発者、特に従業員が数名の小規模な開発企業で働く開発者が、現在開設されているすべてのアプリケーションストア向けに開発作業を行う可能性は低い。Appleは開発者にとってのワンストップショップになるために、懸命の努力をしている。
Appleには、最近頭角を現してきたライバルたちにはないものがある。それは、携帯電話以外のデバイスを対象とするアプリケーションストアだ。iOSを搭載するデバイスは増えている。つまり、開発者はiPhoneユーザーだけでなく、iPadやiPod touchのユーザーにもアプリケーションを販売することができる。将来的に「Apple TV」までもがiOSを搭載するようになるとの憶測もある。
Altimeter GroupのアナリストであるMichael Gartenberg氏は、Appleが今後重視するのは、「iOS搭載デバイスの対処できる市場」だと言う。「GoogleはAppleのこうした動きに対して、何らかの対抗策を打ち出す必要があるだろう。Googleはメディアプレーヤーを有していない。現在のところ、Androidは(タブレットという)方向へ進んでいるようだが、Googleは携帯電話の枠に留まらない、効果的なエコシステムを作り出すことができるだろうか」(Gartenberg氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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