「iPad」vs「Kindle」--アマゾンがアップルに学ぶべき5つのこと - (page 4)

文:David Gewirtz(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:川村インターナショナル2010年04月15日 07時30分

 紙の本の出版社は、自社の命運を賭けて戦っている。自社を差別化して潜在顧客にとって重要な存在であり続けるために、できることはすべてやろうとしている。iPadでのカラー表示は抜きん出るための1つの手段だ。出版社は間違いなく、自社の本がより魅力的なものになるようiPadに合わせて調整していくはずだ。

 Amazonが学ぶべき教訓は、出版社はカラー表示の環境に引き寄せられていくだろうということだ。Kindleで味気ないグレーの画面しか見られないなら、コンシューマーはカラー表示を求めて去ってしまうだろう。

iPadとの差別化

 良識あるテクノロジ系ジャーナリストなら、狂喜するAppleファンをこれ以上見たくないと思っているはずだ。もちろん、「Apple」という言葉が使われる度にそのようなファンたちがもたらすウェブトラフィックは別だが。

 以前述べたように、Amazonは1つとても正しいことをしている。受け入れてくれるプラットフォームなら、どれでもKindleソフトウェアが動作するようにしていることだ。これは、Kindleハードウェアが失敗しても、Kindle市場は成功する可能性があることを意味している。

 それでも、Amazonがハードウェア事業を継続したいなら、KindleをiPadと差別化する手段を(それも良い形で)見いだす必要があるだろう。価格は、明らかに差別化の切り口になる。ほかに利便性という手もあるし、機能とその多様さという方法もある。

 ここでAmazonが学ぶべき教訓は、iPadの上を行くか下を行くか、どちらかにしなければならないということだ。1つのアプローチは、非常に安価なKindleを提供することかもしれない。ビーチやバスルームに持ち込んでも気にならず、3台か4台買って、必要なときにすぐに使えるように家のあちこちに置いておくような安いKindleだ。実際、「Whispernet」と動的同期機能があれば、実用的な使い方といえる。

 もう1つは、ハイエンド側の市場を狙うというアプローチだ。「Android」やHewlett-Packard(HP)の「Slate」までをもモデルにして、Kindleを、用途を限定しない汎用コンピューティングデバイスだが読書にも最適という位置付けにする。

 要は、Appleは巨大企業になったとはいえ、業界ではほかの有力企業も共存し繁栄することができるということだ。Jeff Bezos氏はSteve Jobs氏にとって都合のいい存在になってしまう可能性もあるが、イノベーションを起こして消費者向け電子機器の市場で然るべき地位を占める可能性もある。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ

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