20代IT起業家に求められる資質、そして10年先の展望とは--BRIDGE 2010

岩本有平(編集部)2010年03月09日 19時26分
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 若手のIT起業家はどういった志や能力を持って会社を立ち上げるに至るのか。また10年後にあるべき会社の姿をどのように考えているのか? 3月8日に東京都渋谷区の渋谷区立商工会館にて開催されたイベント「BRIDGE 2010 March」では、「起業家の資質と興味」をテーマに、20代後半の経営者らによるパネルディスカッションが繰り広げられた。

 パネリストとなったのは検索エンジン「Sedue」などを開発するプリファードインフラストラクチャー代表取締役の西川徹氏、iPhoneアプリケーション「LightBike」を公開し、米国のApp Storeで有料アプリの販売数1位に輝いたパンカク代表取締役の柳澤康弘氏、シフト管理ASP「CiFTER」を提供するワイアード代表取締役社長の石原明彦氏の3人。モデレーターはコアピープル・パートナーズ代表の本間真彦氏が務めた。

モデレーターを務めたコアピープル・パートナーズ代表の本間真彦氏 モデレーターを務めたコアピープル・パートナーズ代表の本間真彦氏

 経緯は異なるものの、いずれも学生時代から起業を志してきた3人。経営者として常に意識していることはどういったことなのだろうか。

 自らがエンジニアであり、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の開発者発掘プロジェクト「未踏ソフトウェア創造事業」(未踏)に採択された経験を持つ西川氏は、何より技術力を持つことを意識すると語る。「(事業として)おもしろいことをやっていても、やはり技術を持っているかどうか。真似できないような技術をいかに持つかが重要」(西川氏)

 そのため西川氏は、土日も趣味や仕事でプログラミングをすることで得意分野の研さんを続けているという。「プログラマーにとっては会話のように日常的な行為、1カ月やらないと忘れてしまう」(同氏)

プリファードインフラストラクチャー代表取締役の西川徹氏 プリファードインフラストラクチャー代表取締役の西川徹氏

 柳澤氏が意識するのは、製品が普遍的かどうか、世界に受け入れられるかどうかということだ。「世界に出るためにまず日本国内で成功すべきという話があるが、日本のマーケットに沿いすぎると世界に出られない」(柳澤氏)とコメント。世界進出できないことは能力的な問題ではない。世界で通じる普遍的な製品・サービスを作るという目線を持つことこそが重要だとした。

 3人の中で唯一、マーケティング・営業畑を歩んできた石原氏は、オリジナリティの重要さを説く。「CiFTERは真似しようとすればできるサービス。実際そんな企業もある。しかし我々は開発から製品になるまで1年ユーザーと話してサービスを作っており、本質やオリジナリティでは負けない。よそが今のサービスをそのまま真似たところで、その先に行ける」(石原氏)

パンカク代表取締役の柳澤康弘氏 パンカク代表取締役の柳澤康弘氏

 このように語る3人だが、起業までの道のりはどういうものだったのだろうか? 本間氏は、起業に至るまでの周囲の反応や評価、そして起業を決心するトリガーとなった出来事を聞いた。

 起業に際して周囲に反対されたというのは西川氏。中学生時代に出会ったMS-DOSに夢中になり、そこからコンピューターサイエンスを学ぶようになった同氏。未踏やプログラムコンテストへの出場などを通じて多くのエンジニア達と出会い、彼らと一緒に仕事をしたいという思いから起業を決心したが、当初は周囲に強く反対され、「毎日電話がかかってくる状態」(西川氏)だったそうだ。

ワイアード代表取締役の石原明彦氏 ワイアード代表取締役の石原明彦氏

 また当時は大学を利用することでコストもかからず、1年間で成果がでなければクローズすることも考えるなど「甘えがあった」と語る。西川氏は、当時在籍していたバイオベンチャーを出資者の意向などから退社。それをきっかけに気持ちを切り替え、プリファードインフラストラクチャーでの事業を本格化していった。

 柳澤氏は大学在学中、大学の近所に3LDKの部屋を借り、起業志向の強い友人やエンジニア達の“たまり場”を作ることで交友関係を広げていったと語る。そして、ビジネスプランコンテストに応募し、そこで得た賞金をもとに最初の起業を経験したという。

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