現在のレコーダー「DIGA」は、IPのネットワークをほぼ標準搭載している。その先駆けとなったのは、HDDレコーダーを遠隔操作して録画できる「ITアダプター VW-NET1」と呼ばれる機器だった。2002年に1号機を出し、価格は当時3万9800円だったという。
「ベタな名前で恥ずかしい」と林田氏は笑う。「『だれが買うねん』というようなものだったが、ネットが多様化していく時代になる。これはやっておかないとあかんと確信して商品化をした」と背景を語った。
社内では反対されながらも、300台だけ作ることを許されたという。しかし当時としては“際物”的存在のネット用アダプターは一般ルートで売ることは許されず、同社の販売サイト「パナセンス」で販売することになった。
「300台ということですぐ売れるだろうと思ったが、100台は売れ残ってしまった。無理に作ったものだから売れ残ったとは言えず、営業に無理をいって売りさばいてもらった思い出がある」と振り返った。
2003年にさらに進化させ、携帯電話から番組を予約できる2号機「VW-NET2」を出した。価格も1万2800円に下げた。「本当は9800円で売りたかったがコストが合わなかった」(林田氏)という。
当時のアンケートで、家庭の中の製品でネットにつなぎたい機器を聞くと、ビデオレコーダーが1番だった。その用途は、予約録画を忘れたときに予約をしたいというもので、それを素直にそのまま商品化したのだという。
一方で、ITアダプターを商品化したことで見えてきた問題もあった。機器をネットにつなぐとき、PCにつないでIPアドレスを打ち込まないとならない点だ。
「家電商品を使う人にはハードルが高いことを痛感した。お客様に使いやすいプラグ&プレイを使って欲しいと研究所に伝え、その必要性を理解してもらった」と林田氏は苦労を語った。
これをきっかけに、同社はNAT(network address translation)越えするための独自方式の「LSPサーバ」を初めて構築する。
「宅外から予約をするということは、リアルタイムに情報をやりとりできないと確実に予約できたかわからない。リアルタイムにつねに宅内の機器と宅外の機器がやりとりできる環境を作って欲しいと(研究所に)お願いした。つないだらすぐというわけにはいかないが、比較的簡単につながるサービスを展開した」と語った。
なお、パナソニックでは遠隔録画予約サービスとして、現在ディモーラを提供している。
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